【免許更新制】 萩生田文科相、廃止報道に「研修の必要性」強調

教員免許更新制について政府や文科省が「廃止する方針を固めた」などとする報道が相次いだことに関連し、萩生田光一文科相は7月13日の閣議後会見で、「中教審で現在、真剣な議論を行っている途上。結論を導き出す方向にはまだ至ってない」と指摘した上で、「文科省としては、現段階で教員免許更新制の廃止を固めた事実はない」と説明。さらに「研修の必要性は全く変わっていない。そこは改めて強調しておきたい」と述べ、教員免許更新制の廃止を巡り、教員研修の在り方が焦点になっていることを示唆した。

教員免許更新制の見直しについて検討状況を説明する萩生田文科相

萩生田文科相は「教員免許更新制については、3月12日に中教審に必要な教師の確保とその資質能力の確保が両立できるように、何らかの前提を置くことのない抜本的な検討を行うよう諮問し、現在真剣な議論を行っている途上もある。結論を導き出すような方向にはまだ至っていない」と、中教審の検討状況を説明。「文科省としては、中教審での議論をしっかりと見守りつつ、スピード感を持って制度改革を進めていくことを考えている。現段階で教員免許更新制の廃止を固めた事実はない」と話した。

続いて「私自身は研修の必要性は十分分かるけれど、更新制とひも付けることによって、研修が本当にいいものになっているかどうかも含めて、中教審に精査をお願いしている立場なので、あらかじめ私の結論的な思いを申し上げるのは控えたい。中教審を待って、方向性を決めたい」と理解を求めた。同時に「研修の必要性は全く変わってない。そこは改めて強調しておきたい」とも指摘。教員免許更新制の存廃を判断していく上で、教員の資質と能力を担保するために必要な研修をどう考えるかが課題になっているとの認識を示した。

教員免許更新制については、萩生田文科相が今年3月、中教審に「必要な教師数と資質・能力の確保が両立する教員免許更新制の見直し」について先行して結論を出すよう諮問。中教審では4月から議論をスタートし、文科省が5月に▽教師の研修受講履歴の記録・管理▽教師と任命権者等との「対話」や研修の奨励が確実に行われるための制度的な措置–などを論点として提示した。中教審教員免許更新制小委員会の加治佐哲也主査(兵庫教育大学長)は、教員免許更新制の存廃を含めて判断する時期が来ているとの考えを示し、文科省に論点整理を求めている。

中教審の議論では、現場教員へのアンケート調査で教員免許更新講習を「やや不満」「不満」とする回答が58.5%を占める結果が明らかにされるなど、教員免許更新制の廃止を支持する意見が大勢を占めている。一方、教員の資質能力の確保に必要とされる研修については「教員の学びは、これまでのように研修所や大学などで講義を受けるのではなく、学校現場での経験的な学びこそが教員資質の向上をもたらす」と、校内研修などOJTの重視を求める専門家の報告が行われ、複数の委員が支持したが、なお議論が十分に尽くされたとは言えそうにない。

萩生田文科相は教員免許更新制について、これまで「中教審に諮問している立場なので、私の考えをあらかじめ申し上げるのは控えたい」などと自身の考えを明言してこなかったが、6月21日には教員免許更新制の「速やかな廃止」を要望した熊谷俊人・千葉県知事に対し、「なぜ諮問したかと言えば、課題があるから。審議会の結果を見て、スピード感をもって対応したい」と伝え、自身の考えをにじませている。

今後の見通しについて、文科省幹部は、8月末に予定される来年度予算の概算要求や9月にも行われる衆院選などのスケジュールをにらみながら、「8月には方向性を出したい」としている。

教員免許更新制の廃止を巡っては、7月10日夜、毎日新聞がインターネット版で「教員免許更新制廃止へ 文科省、来年の法改正目指す 安倍政権導入」と報道。11日付読売新聞朝刊(東京版)が「教員免許更新制廃止へ 資質向上 効果薄く 来年法改正 教委研修は充実・強化」との見出しで、同日朝のNHKニュースでも「10年ごとの教員免許更新 廃止へ 文部科学省」とのタイトルで報じた。

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