日本型の特異な才能教育の在り方議論 文科省有識者会議

特定分野に特異な才能を持つ児童生徒への指導や支援の在り方について検討する文科省の有識者会議(座長・岩永雅也放送大学学長)が設置され、初会合が7月14日、オンラインで開かれた。米国で「才能教育」が活発に行われている現状などが報告され、委員からは「特別な才能を持つわずかな子供の話でなく、個に応じた学びの一環として広く捉えて考えていくべきではないか」などといった意見が出されて、日本型の才能教育の在り方について議論を進めていくことになった。

オンラインで行われた有識者会議の初会合

特異な才能を持つ児童生徒への教育を巡っては、今年1月の中教審答申で、米国などでは「ギフテッド教育」として、知能指数が高い子供や、才能と学習困難を併せ持つ児童生徒への教育が活発なのに対し、日本では議論が十分に行われていないとして、そうした児童生徒への指導・支援の在り方について検討する必要があると指摘していた。

こうした流れで発足した同会議の初会合では、はじめに文科省の担当者が、特定分野に特異な才能のある児童生徒について、▽対象となる分野や才能の見いだし方▽学校で抱える困難とその支援方策▽大学や民間団体など、外部機関との連携による学校での指導・支援の在り方――などの検討を求めたいと委員に説明した。

続いて、岩永座長が米国で広く行われている才能教育の実態を報告し、才能教育には飛び級などの「早修」と、能力の高い者により広く深い内容を横展開で教育する「拡充」があることなどを説明した。岩永座長は、「拡充」は日本でも導入可能としながら、教材開発や専門の教員確保などコストもかかるとし、「日本では、教育期間の短縮で節減された経費を有効利用する、『早修』と『拡充』の融合した形が理想的と考えられるのではないか」と述べた。

また、松村暢隆委員(関西大学名誉教授)は、海外での才能教育の定義や方法などを整理して解説したほか、特異な才能と発達障害のある児童生徒などへの学習・社会情緒的支援の必要性なども指摘。その上で今後の才能教育の方向性として、「特別支援教育や生徒指導の在り方と関連させて検討するとともに、通常学級での個別最適な学びと連携して考えるといいのではないか」と語った。

ヒアリングを踏まえて各委員はそれぞれ意見を述べ、市川伸一委員(東京大学名誉教授)は「特別な才能を持ったわずかな子供だけでなく、いろいろな興味関心を持つ子供のニーズなど、広く個に応じた学びの一環として才能教育を捉えるべきではないかと思った。また、日本文化には『早修』より『拡充』が合っているように思うが、過去の早期プログラムのデータがあれば知りたいと思った」と話した。

また、今村久美委員(認定NPO法人カタリバ代表理事)は「日本社会は嫉妬に満ちていて、いろいろな才能のある人や立場のある人に厳しい目を向けやすい特性がある。この会議では、どんな子供もその能力に応じた教育を受ける権利があるという大前提の実現を目指すことを社会的に発信しながら、審議を進めるべきだと思う」と述べた。

最後に岩永座長は「基本的に大事な目標は個別最適な学びと、子供たちのウェルビーイングの実現かと思う。特定分野の特異な才能については、非常に広い意味で捉えて自由に議論を進めていきたい」と締めくくった。

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