改革で揺らぐ教職の専門性 日本教師教育学会が緊急シンポ

中教審などで議論が進む教員制度改革を巡り、日本教師教育学会は7月18日、「『令和の日本型学校教育』を担う教師と教師教育の在り方を問う」をテーマにした緊急公開シンポジウムをオンラインで開いた。中教審の特別部会で検討が進んでいる改革の方向性は、日本の教職の専門性を変質させる可能性があると問題提起した。

中教審では、今年3月に文科相から諮問された「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」を受けて、「『令和の日本型学校教育』を担う教師の在り方特別部会」を設置し、議論を本格化させている。これを受けて同学会は6月に、中教審に対して要望書を提出。諮問の内容には、今後の教員養成や教職の在り方に重大な影響を及ぼす事項が含まれているとして、慎重な議論を求めている。
要望書の提出を踏まえ、同学会会長の浜田博文筑波大学教授は、諮問や特別部会での検討内容は「これまで積み上げられてきた教員養成についての議論をあまり深く検討しないままに、新たな改革に着手しようとしていると感じられる」と懸念を表明。教職の根本的な在り方を議論するのであれば、これまでの歴史や制度上の理念、他国の事例などを多面的に検討した上で、構想を練るべきだとした。

続くシンポジウムでは、油布佐和子早稲田大学教授が、深刻になっている教員不足の問題について、小学校の教員養成に着目して分析。1990年代ごろから国立大学の教員養成系学部の定員削減と合わせて私立大学での小学校の教員養成課程の認定要件を緩和したものの、教員採用試験の合格率では国立大学出身者と私立大学出身者で差が開いていることから、必ずしも質の高い教員の育成にはつながっておらず、これまでの改革が需給問題を見誤っていたと指摘した。

また、勝野正章東京大学教授は、文科省が2月に打ち出した「『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上プラン」が、中教審の特別部会における議論のベースとなっているとの見方を示し、2022年度から始まる教職課程における複数学科間での科目・専任教員の共通化の範囲拡大、小学校への教科担任制導入を見据えて、小学校と中学校でお互いの教員免許を取得しやすくするなどの既定路線となっている改革が、教員養成に与える影響を注意深く検討する必要があると指摘した。

比較教育学が専門の佐藤仁福岡大学教授は、「多様性」という言葉が諮問文の随所で使われていることに注目した。佐藤教授は、すでに日本では、教員養成系大学・学部以外の一般大学でも教職課程を設けることができるという開放制の原則や、教員資格認定試験、特別免許状などのさまざまな教員免許の取得ルートがあることから、現行制度でもかなり多様性があることを確認した上で、他国の事例や教職の専門性に関する議論にも目を向けながら、教員になれる多様なルートの存在が、教職の専門性をどう変えていくかを明らかにすべきだと強調した。


ニュースをもっと読む >