コロナ禍の「学びの保障」と「令和の日本型教育」強調 文科白書

文科省は7月20日、2020年度の文部科学白書を公表した。コロナ禍での児童生徒の「学びの保障」や、GIGAスクール構想の大幅前倒しなど学校現場の支援に取り組んだこと、中教審がまとめた答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」の内容を中心に、初等中等教育の目指す改革の方向性などを強調する内容となった。

「学びの保障」への対応

昨年2月に政府が要請した全国の小中高、特別支援学校の一斉休校。かつてない状況は、子供たちや家庭にとって学校がいかに大きな存在であったかを改めて浮き彫りにさせたことを踏まえて、白書は特集として、コロナ禍で文科省が打ち出した施策を紹介した。

この中では、全国的な学校再開を受けた昨年6月、学校の感染症対策と児童生徒の健やかな学びの保障の両立を図ろうと「総合対策パッケージ」をまとめたことに触れ、長期間の休校による学習の遅れを取り戻すため、学校再開後は協働学習など学校でしかできない活動に重点化し、限られた授業時数の中で効果的な指導の実施を求めたことを記述。一方で、個人でもできる学習については、家庭や放課後の学習指導員による補習などで行えるようにする方針を示したことを説明した。

また、コロナ禍でさまざまなストレスを抱える児童生徒に対応するため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの追加配置のための支援を行ったことや、ICT活用によるオンライン学習の確立とともに「GIGAスクール構想」の開始時期を今年4月に大幅に前倒しして、児童生徒の1人1台端末環境の整備を進めたことにも触れ、「子供たちが安心して学校生活を送ることができるよう、引き続き必要な助言や支援を行っていく」と強調した。

大学や高等専門学校についても、オンライン授業の取り組みが大きく広がる中、対面授業を望む学生の希望も受け止める必要があるとして、感染対策を十分講じた上で対面授業の機会を設けることを、積極的に検討するよう求めたことなどを紹介。さらに経済的な影響を受けている学生への緊急対応措置として、貸与型奨学金による随時支援や各大学の授業料の減免措置の支援に取り組んだことを上げて、「コロナ禍で学生が進学・就学を断念することがないよう、引き続き支援する」との姿勢を示した。

「令和の日本型学校教育」の方向性を紹介

白書が2つめの特集として取り上げた「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」では、今年1月に中教審がまとめた答申内容を中心に、これからの初等中等教育の方向性と具体的な方策を示した。答申で描かれた2020年代を通じて目指す学校教育の姿は、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学びの実現」。そのために学校教育が果たしてきた役割を重視・継承しつつ、必要な改革を進めていくべきだとしている。

この実現も含めて、これからの学校教育を支える基盤的なツールとして欠かせないのがICTであるとして、日常的に活用できる環境整備が必要であると指摘。GIGAスクール構想による1人1台端末の活用とともに、対面指導とオンライン教育を使いこなすなど、これまでの実践とICTを最適に組み合わせることで、学校のさまざまな課題を解決し、教育の質の向上につなげていくことが必要であると強調した。

また、教員免許更新制や研修を巡る制度に関して、将来にわたる教員数の確保と、その資質・能力の核が両立できる在り方を検討することが必要と指摘されたことを受けて、抜本的な制度の見直しに向けて議論を進めていることも紹介している。

この特集の最後のページには中教審の渡邉光一郎会長の特別寄稿を掲載。渡邉会長は、一見対立するように見える概念の両方の良さを組み合わせて生かすため「二項対立の陥穽(かんせい)に陥らない」ことと、「多様性と包摂性」を意識して答申をまとめたことに触れ、子供たちの知・徳・体を一体で育む日本型学校教育と、GIGAスクール構想などの未来志向の新たな動きの調和を目指すという基本コンセプトを説明している。

文科白書について述べる萩生田文科相

萩生田光一文科相は20日の閣議後会見で、「今回の白書では、特集として文科省が実施してきた新型コロナ対応、初等中等教育の目指すべき改革の方向性と具体的な方策、研究力向上のための若手研究者への支援と3つのテーマを取り上げた。取り上げた施策をはじめ文科行政のさらなる充実を図っていきたい」と述べた。

また、今回の白書では、全体の分量を例年の約450ページから約400ページに圧縮したとともに、QRコードを掲載して動画や参考資料に導く仕組みを導入した。これについて萩生田文科相は「コンパクトで中身の濃い白書に挑戦した。DX(デジタルトランスフォーメーション)時代の新しい白書の先頭を走ったという自負があり、これからも改善につなげたい」と述べた。


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