中学生が正解を求めない音楽づくり ロンドン交響楽団の手法で

正解を求めない自由な音楽づくりを——。ロンドン交響楽団のメンバーと日本の音楽家たちによる「Discovery for 2021」プログラムの一環として、ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』をテーマにした音楽づくりワークショップが7月19日、東京都渋谷区立上原中学校の2年生を対象として行われた。主催はブリティッシュ・カウンシル。

ワークショップは同交響楽団のメソッドをベースに、作曲家で同交響楽団のワークショップ・リーダーでもあるレイチェル・リーチ氏の指導を受けたヴィオラ奏者の磯多賀子さん、コントラバス奏者の村松裕子さん、フルート奏者の磯野恵美さんが、同校の音楽科の今井由喜教諭と協働して行った。

生徒らは事前授業として、同交響楽団が制作したウェブアプリ「LSO Play」日本語版を活用し、『牧神の午後への前奏曲』のコンサート映像を観賞。曲へのイメージを膨らませた上で、この日のオリジナル楽曲づくりに取り組んだ。

即興の音楽づくりに取り組む生徒たち

同曲は、牧神が木陰で昼寝をしながらすてきな夢をみているという設定。まず、ワークショップのファシリテーターを務めた磯野さんが「この曲のオープニングは、①眠りの音楽のような、まどろむ感じ②キラキラした感じ③悪夢を思い起こすような感じ——この3つの要素からできている」と説明。生徒らはグループごとに用意されたキーボードや木琴、鉄琴、打楽器などを使って、それぞれの要素をイメージする短いメロディーを即興で作曲することに挑戦した。

今井教諭によると、普段の音楽の授業でも音楽づくりには取り組んでいるが、今回のようなイメージを先行した形でするのは初めてだったという。それぞれアイデアを出し合って音をつくり出していくグループもあれば、なかなか動き出せないグループもあり、音楽家3人と今井教諭からそれぞれアドバイスを受けながら進めていった。

10分間で制作した後は、グループごとに楽曲を披露。ストーリー性を持たせた曲に仕上げたグループや、タンバリンなど打楽器でアクセントをつけたグループ、繰り返しを効果的に使ったグループなど、生徒らの自由な発想が光る音楽が奏でられていた。

磯さんは「一音鳴らすだけで、音楽になる。例えば、普段はコミュニケーションをとるのが苦手な子でも、一緒に何かをつくることができるのが音楽づくりの良さ」と話す。村松さんも「どんなアイデアを出しても『間違いじゃないよ』と言える、こういう学びが大切なのではないか」と強調した。

続いて、「夢」をテーマにした即興の音楽づくりにも挑戦。生徒たちにとって「夢」はイメージしやすかったのか、「ちょっとゾワゾワするような音にしよう」「ベッドから落ちるイメージは?」などと、各グループがより積極的に話し合いながら楽曲を作成。「ゴジラに追われる夢」を表現したグループの曲を聞いた磯野さんが「まるで映画音楽のよう」と絶賛するなど、たった10分、即興でつくったとは思えない楽曲を、生徒たちは作り上げていた。

最後には、全グループがつくった曲をリレー方式で演奏。磯野さんは「今日はある手法について学んだが、音楽にはたくさんの作曲法がある。いろいろな視点を持てば、音楽がもっと自由に、もっと楽しくなる」と生徒らに呼び掛けていた。

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