AIドリルで個別最適化 EdTech導入による教育改革を報告

「未来の教室」実証事業を進めている経産省は7月20日、昨年度に同省のEdTech導入補助金を活用した自治体や学校の教育改革を取り上げた「未来の教室」キャラバンをオンラインで開催した。福島県大熊町教委が、AIドリルのQubena(キュビナ)を活用して、学びの個別最適化を実現した事例や、高校での英語のスピーキング向上に効果のある活用例などが報告された。

EdTechの導入による成果が報告された今年度最初のキャラバン(YouTubeで取材)

東日本大震災の福島第一原子力発電所の事故で、今でも立ち入りが制限されている地域がある大熊町では、児童生徒が少ないことを逆手にとって、小学1年生~中学1年生が混在して、キュビナを使って一緒に算数・数学を学習する。キュビナを使えば、個々のペースで自分に合った学習ができ、上の学年の子どもが下の学年に教えるなどの協同性も生まれるという。

キュビナの導入によって、教師の指導観や役割も大きく変わった。木村政文教育長は「個別最適な学びと協働的な学びに教師が関わるようになる。教師も一緒に学ぶ、支援者としての役割があらわれ始めた。子どもが変わると教員の役割も変わり始め、戸惑いも手応えもあった」と振り返る。中には従来の一斉授業をやめ、ホワイトボードの周りに子どもを集め、話し合いをさせながら授業をする教師も出てくるなど、授業スタイルの変化にもキュビナは一役買ったそうだ。

木村教育長は「個別最適化された学びを実現するための大きな壁は時間割だ」と指摘し、小学校でも教科担任制を導入し、将来的には教育課程そのものを個別最適化していきたいと語った。

日本人が苦手意識を持っている英語のスピーキングでも、EdTechの成果が出ている。

岩手県立大槌高校では、進学コースの生徒に対して、オンライン英会話のDMM英会話を導入した。ネーティブスピーカーとの会話を通じて、英語が伝わる喜びや伝わらないもどかしさを体験しながら、生徒の英語力を伸ばしたいと考えていた鈴木紗季教諭は「DMM英会話ならば1対1のつながりができる。生徒が必要とする瞬間にフィードバックがあったことの効果が大きい。一連の過程に一人の先生が寄り添うのも一斉授業ではできない」と、手応えを感じていた。

特に、この英会話の時間にどんな内容を話すかを生徒が事前に家庭で考えてノートにまとめてくる姿が見られるようになり、伝えたいという思いが主体的な予習復習につながったという。

また、鷗友学園女子中学高等学校国際部では、英国の名門イートンカレッジが提供する、英語によるオンラインプログラム「イートンX」を課外授業として実施。英語が得意な生徒は、会話が全て英語で行われるチューターコースに挑戦し、英語に自信がない生徒は、日本語の学習マニュアルなどのサポートがあるチューターコースを選択して、学習を進めた。

同校国際部の村田祐子部長は「普段の授業に加えて取り組むことになるので、生徒にとってはちょっとハードだったが、そのハードな内容を楽しんでくれていた。英語に自信のない子にとっての次のステップとして、すごくよかった」と、生徒の成長につながったことを実感していた。

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