地域事情に応じた推進策に理解 コミュニティ・スクール検討会議

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の導入促進や充実策を議論する文科省の検討会議は7月27日、第4回会合をオンラインで開催し、教育研究家の妹尾昌俊氏からヒアリングを行うとともに、中間まとめ案について意見交換を行った。妹尾氏は教員の働き方改革に逆行しないように気を付ける必要があると指摘した上で、学校運営に多様な視点や見方を取り入れていく場としてコミュニティ・スクールが持つ役割や活用に向けた視点を独自に整理した。中間まとめ案については、第三期教育振興基本計画に基づいて全ての公立学校でコミュニティ・スクールの早期導入を目指す考え方について、委員から「地域の実情に応じて、もう少し緩やかに考えていいのではないか」との指摘があり、座長の松田恵示・東京学芸大学理事・副学長も「(推進方法を)考えていく時間が必要なのは、確かにそうだと思う」と述べて、柔軟な推進策に理解を示した。

検討会議で行われた教育研究家、妹尾昌俊氏のヒアリング

会合では、妹尾氏が報告の冒頭、スライドで「6分」という数字をみせながら、「教員の1日の中で、休憩時間はこれしかない」と述べ、「子どものためになる」という理由で、コミュニティ・スクールや地域との協働を進めようとすると、教職員の負担が増えていく可能性があることに注意を喚起。「連携や協働を図る前に、家庭や地域と学校はお互いのことをもう少し知ることが必要だ」と述べ、教員の勤務時間や部活動の指導が教育課程の範囲外で行われていることなど学校教育の実情を、保護者や地域に知ってもらうことがコミュニティ・スクールの前提になることを注意点として挙げた。

さらに「教育委員会や校長によっては、コミュニティ・スクールを通じて、何をやりたいのか、何を推進したいのか、しっかり考えられていない」と述べ、学校運営協議会の設置や開催自体が自己目的化している恐れがある、と指摘。

学校運営に多様性が必要かつ重要になる理由として、▽先行きが見えにくいVUCA(ブーカ)の時代に校長の思いだけで突っ走るのは危険▽教職員のがんばりだけで困難な状況を乗り切ろうとしても、リソースも知恵も不足している――ことなどを挙げた上で、「多様性の高い組織はさまざまな知見を参照し、アイデアを掛け合わせることで、問題解決などに必要な領域の多くをカバーできる」と説明。外部の「批判的な友人」として保護者や地域との協働が有効で、そのためにコミュニティ・スクールの役割が生きてくることを強調した。

続いて、中間まとめ案について意見交換が行われた。中間まとめ案は、前回示された骨子案に対する委員たちの意見を踏まえ、文科省がまとめたもの。これについて、「ガバナンスという言葉は強い意味合いを感じさせる。コミュニティ・スクールがなぜ必要かを考える中で、ガバナンスが指し示している内容について理解を深め、言葉使いに工夫ができるといい」「中間まとめ案では、コミュニティ・スクールと地域学校協働本部の一体的な推進が打ち出されているが、それぞれの狙いを生かした両者の協働がどういう形になるのか再整理が必要」といった指摘があった。

山本珠美・青山学院大教授は、中間まとめ案に盛り込まれた「第三期教育振興基本計画にあるように、1日でも早く全ての公立学校で学校運営協議会を導入すべきではないか」との文言について、「第三期教育振興基本計画に書いてある以上、文科省としてはこういう記述にせざるを得ないのかとは思うが、『全ての公立学校』というように強く記述することには、慎重になるべきではないか」と問題を提起。中山間地の小規模校と都市部の大規模校で一律に同じ運営ができないことなど、地域の実情に応じた対応が必要になることなどを挙げながら、「国として一律に決めておかなければいけないことなのか、それとも地域の実情に応じてもう少し緩やかに在り方を考えていいのか、もっと議論した方がいい」と指摘した。

これに対し、松田座長は「もっと柔らかい制度作りというか、現状との中で柔らかく推進していくための整合性の取り方を考えていく時間が必要じゃないかという指摘は、確かにそうだなと率直に思った」と応じ、今後の検討事項とする考えを示した。中間まとめは、9月に開かれる次回会合で示される見通し。

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