コロナ禍で家庭への支援求める 子供の貧困指標で改善も

内閣府は7月28日、「子供の貧困対策に関する有識者会議」の第17回会合をオンラインで開き、昨年度の子供の貧困対策の状況やコロナ禍での支援策などについて議論した。子供の貧困に関する指標の直近値が公表され、スクールソーシャルワーカー(SSW)の対応実績のある学校の割合や、スクールカウンセラー(SC)の学校への配置率で改善が見られた。また、昨年度から始まった高等教育の修学支援新制度の利用者数も公表された。構成員からは、コロナ禍によって家計がひっ迫している家庭が増えているとして、早期に追加の経済的な支援の拡充を求める意見などが出た。

内閣府からの報告によると、子供の貧困の状況に関する指標の直近値のうち、SSWの対応実績のある小学校の割合は54.2%(2019年度)で、前回(18年度)と比べて3.3ポイント増加。スクールカウンセラーの小学校の配置率も84.7%(19年度)となり、前回(18年度)よりも17.1ポイント高くなった。小学校における新入学児童生徒学用品費等の入学前支給の実施状況は、直近は82.3%(20年度)で、前回(19年度)よりも8.6ポイント増えた。中学校でも、これらの指標で同様に改善が見られた。

子供の貧困状況の各指標に関する直近値(一部)

昨年度の高等教育の修学支援新制度の利用者数は、校種別に見ると▽大学 約19万9000人▽短大 約1万4000人▽高等専門学校 約3000人▽専門学校 約5万5000人――だった。

また、19年に改正された「子どもの貧困対策推進法」の国会での附帯決議を受けて、内閣府が昨年度に試行した子供の貧困に関する全国調査についても、秋ごろをめどに公表されることが報告された。

この他にも、昨年の「秋の行政レビュー」での指摘を受けて、内閣府の研究会で検討が始まっている、貧困状態の子供を教育・福祉などが横断的に把握するためのデータベースの構築に向けた議論の状況についても報告され、支援が行き届かなかったり、届きにくかったりする子供や家庭も含め、窓口のワンストップ化やプッシュ型の支援を実現するためのデータベースのフォーマットのひな型を、今年度末までに作成する目標が示された。

また、この日の会合では、複数の構成員から意見書が提出された。

末冨芳(かおり)日本大学教授は、コロナ禍による低所得世帯のさらなる収入の減少などで、子供の食事や学習意欲などにマイナスの影響が出ているとし、最優先事項として、児童手当や児童扶養手当の拡充と、コロナ禍で支給されている低所得子育て世帯生活支援特別給付金を、家計がひっ迫しやすい年末や新学期などの時期に計画的に支給するよう求めた。

スクールソーシャルワークが専門の山野則子大阪府立大学教授は、厚労省で昨年実施したコロナ禍の影響に関する全国調査を踏まえ、新型コロナウイルスが子供のストレスに深刻な影響をもたらしていると指摘。こうしたリスクのある子供を早期に見つけ出し、適切な支援につなげるためにも、学校でSSWや関係する教員らが支援の方向性を協議するスクリーニングの取り組みを普及していくことや、SSWの国家資格化などを提案した。

貧困状態にある子供の学習・生活支援などに取り組む渡辺由美子キッズドア理事長は、コロナ禍が2年目を迎え、収入が減少する家庭がさらに増えることや、進学などの子供の進路選択にも影響が出ることを懸念。夏休みに入り、学校給食がなくなることから、速やかな現金給付などの支援が必要だと訴えた。

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