児童手当など8つの給付 所得制限の「経済的な根拠不明」

児童手当や就学援助など8つの社会給付について、所得制限限度額の根拠が「経済的な観点で見いだせない」とする調査研究論文を、規制改革・行政改革担当大臣直轄チームのメンバーが7月30日、公表した。国の「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」に寄せられた声を基に検証したもので、河野太郎行政改革相は同日の閣議後会見で、今回の結果を「所得制限の見直しなどの検討に役立てたい」と述べた。

調査研究論文の公表について説明する河野行革相

調査研究では子育て、教育、住宅、医療、介護など4府省が管轄する33の主要な社会給付について、その所得制限限度額を横断的に整理。分析を担った天達(あまたつ)泰章参事官補佐と磯龍(いそ・たつる)氏によれば、こうした横断的な検証は他に例がないといい、それぞれの社会給付を比較したことにより、医療・介護分野の社会保険と、子育て分野の社会手当で、所得制限がない給付が多いという特徴が改めて示された。

また33の社会給付のうち8つで「経済的な根拠が見いだせない」状態のまま運用されていることが分かった=図表=。例えば副食費免除は、そもそも根拠が見いだせなかったという。また就学援助では、給付対象となる「準要保護基準」を算定する計算式に経済的な根拠がなく、また地域によっても差がある状況だったという。

その背景について天達参事官補佐は「予算制約により政治的な判断が優先されたり、当事者団体の声が強く反映されたりして、そのまま運用されている可能性がある」と説明。「人口構成や社会環境の変化などを踏まえたものになっているか、検証の上、見直していくべき」と提言した。

調査研究ではまた、高等教育の修学支援新制度(大学無償化)や保育料などで、所得制限前後の年収帯で可処分所得が逆転してしまうことを確認。例えば大学無償化では、私大生と中学生以下の子供各1人と両親(専業主婦の配偶者)の世帯で試算したところ、無償化の恩恵を受けられる世帯年収300万円の世帯と、受けられない同400万円の世帯で、実質的な収入が逆転することが示された。

調査研究では「各制度で所得制限の限度額やその根拠はまちまちであり、所得制限の設定単位や判定対象、限度額の算出条件なども異なっている。社会給付は国民にとって、分かりにくいものになっているのではないか。各制度での設定単位や判定対象などが異なっていることによる、行政コストの検証も課題だ」と結論付けている。

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