共通テスト記述式、英語民間試験を正式断念 文科相表明

文科省は7月30日、2024年度に実施する大学入試の実施方針を予告するとともに、記述式問題の出題や、英語民間試験の成績提供について定めた大学入学共通テスト実施方針を廃止すると発表し、それらの見送りを正式に表明した。文科相のもとに設置された「大学入試のあり方に関する検討会議」の提言を踏まえ、実施要項には受験機会の公平性への配慮などについて明記する。また、共通テストでは出題科目を30科目から22科目に再編し、「情報Ⅰ」を新設することを改めて示している。

2024年度に実施する大学入試の方針について説明する萩生田文科相

24年度に実施する「25年度大学入学者選抜実施要項」では、「大学入試のあり方に関する検討会議」で整理された、入試に求められる3つの原則(①当該大学での学修・卒業に必要な能力・適性などの判定②受験機会・選抜方法における公平性・公正性の確保③高校教育と大学教育を接続する教育の一環としての実施)を基本方針に反映する。

共通テストでの導入が見送られた記述式問題については、「各大学のアドミッション・ポリシーに基づき、可能な範囲で記述式の検査方法を取り入れることが望ましい」とする。また英語民間試験の活用については「資格・検定試験などの活用を従来通り規定するとともに、家庭環境や居住地域により、資格・検定試験などを受検することの負担が大きい入学志願者の、受験機会の公平性・公正性の確保にあたっての配慮の例を追加する」としている。

さらに障害のある入学志願者への合理的配慮のため、相談窓口や支援担当部署などを設置して事前相談体制を充実させることや、教員の負担軽減の観点から、調査書の「指導上参考となる諸事項」の欄を簡素化するなど様式の見直しを行い、枚数も表裏の両面1枚にするなどの変更が示された。

萩生田光一文科相は30日の閣議後会見で、各大学に対し、「現在の中学3年生が余裕をもって大学進学の準備ができるよう、これらの予告内容をもとに出題教科・科目などについて速やかに学内における検討に着手をし、いわゆる2年前予告を遺漏なく実施していただきたい」と要請した。

また記述式問題の出題や英語民間試験の活用を正式に見送ったことについて、「記述式、表現力、主体性などを判断することの重要性や、英語の4技能をしっかり身に付けていくことの重要性は、いずれも否定するものではない」と話し、各大学の個別試験でこうした力の評価に取り組んでいく方針を改めて確認した。

また出題科目「情報Ⅰ」の新設については、「(学校現場で)不安があるという声は承知している。こういう新しい科目ができたときには直ちにギアチェンジするのではなくて、少しずつ段階的に皆さんの学びを深めていただくことが大事だ。出題内容を含めて、当然配慮があるべきだと思っている」と述べた。

今月8日に「大学入試のあり方に関する検討会議」がまとめた提言では、英語4技能の評価には「国による成績提供の一元管理よりも、各大学の取り組みや試験実施団体の活動の助長、地域・経済格差を是正する取り組みが必要」とされた。また記述式問題については、大学の個別試験や総合型・学校推薦型選抜で、自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力などの評価を推進することが妥当とされた。

さらに、こうした記述式の出題や総合的な英語力の評価、多様な背景を持つ学生の受け入れに積極的に取り組む大学は、好事例として認定・公表するとともに、インセンティブの付与を検討することとされた。このインセンティブについては萩生田文科相が13日の閣議後会見で、「文科省が直ちに、財政的な支援も含めて、来年度のメニューを組み立てる段階ではまだない」として、支援の方法を慎重に検討している状況を明かしている。

今回の通知の全文は文科省のウェブサイトで確認できる。

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