「組織の壁」どう乗り越える 幼小架け橋特別委で議論

 幼児教育の質の向上と小学校教育との接続を議論する、中教審の幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の第2回会合が8月10日、オンラインで開催された。幼児教育を支える自治体の取り組みについて委員が報告。その中で、行政機関において子供に関わる組織やデータを一元化している事例が一つの焦点となった。

オンラインで開かれた第2回会合

 岡林律子委員(高知県教委事務局幼保支援課専門企画員)は、高知県教委事務局に「幼保支援課」を設置し、幼稚園・保育所の行政窓口を一本化するとともに、「保育の質の向上」と「親子関係の構築支援」を両輪として取り組んでいることを報告。小学校の円滑な接続については、市町村教委と連携して「接続期カリキュラム」を実施しているほか、幼児・児童の交流や教職員の連絡会などを行っているとした。

 藤迫稔委員(大阪府箕面市教委教育長)は、同市で3度の組織改編を経て、児童福祉を担う部局を教委に一元化したことで、教育と福祉の融合を図っている例を紹介。また、0歳から18歳までの子供について、学力・体力調査や生活状況調査の結果、虐待の通報・対応状況、生活保護や就学援助の受給状況など多様なデータを集めたデータベースを構築し、異変に気付いたら早期に支援につなげられる体制を作っているとした。

 こうした自治体の取り組みについて、堀田龍也委員(東北大学大学院情報科学研究科教授)は「行政においては多くの場合、データ利活用の一元化は個人情報の関係などでなかなかできない。今後は、これができないと個別の支援は難しいと思っているが、役所の論理では困難なことも多いようだ」と指摘した。

 これに対して、高知県の岡林委員は「幼稚園・保育所・認定こども園と、施設や教育が異なる中で小学校に上がるのは複雑だとして、(行政窓口の)一元化を進めたが(その背景として)当時の教育長など上層部に理解があったことは大きい。ただ個人情報の一元化は、目的に応じて慎重に進めている」と応じた。

 一方で、データベースの構築に成功した箕面市の藤迫委員は「個人情報については、教委と(福祉を担う)市長部局の壁を乗り越えられない、収集目的以外にそれを使ってはいけないという2つの壁があった。そのために個人情報保護条例の改正を行い、心身・生命にかかわる目的の場合は、その壁を取り払えるということにした」と説明。

 これについて、溝上慎一委員(桐蔭学園理事長)は「行政の壁や、個人情報の取り扱いに難しさはあると思うが、架け橋という点で教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)につなげることが、私はとても大事ではないかと思う。箕面市の例を手掛かりに、全国でプラットフォームを作れないか」と指摘した。

 渡邉一利委員(笹川スポーツ財団理事長)は「箕面市はグッドプラクティスの事例で、そうではない自治体が圧倒的に多いはず。エビデンスに基づく取り組みを進めていく中で、国の政策は何を目標にしているのかを、市区町村や各園・各校に届けて実行してもらう仕組み・方法論をいま一度、考える必要がある」と強調した。

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