STEM教育の実践と評価の課題 各校がシンポで事例発表

 日本STEM教育学会は8月11日、「STEM教育の実践と評価」をテーマにしたオンラインシンポジウムを開き、各地でSTEM教育に取り組んできた学校が実践事例を紹介した。

「STEM教育の実践と評価」をテーマに議論したシンポジウム(Zoomで取材)

 複式学級もある小規模校の高知市立浦戸小学校では、昨年度からものづくりを中心に据えた探究型学習の研究を進め、全学年で地域と連携した教科横断的な学びを展開している。3、4年生では、海に近い地域であることや高齢化が進んでいるのを踏まえ、津波が起こった際の避難路を見直して、高齢者でも逃げやすい避難路づくりを2年間かけて取り組む。

 発表した同校の藤田由紀子校長は「STEM教育が教科領域を超えたコンピテンシーを引き出している。教員のマネジメント力の向上や、多様な連携のための開かれた学校であることが求められている。STEM教育で子どもが変わり、教員が変わり、管理職が変わる。誰もが探究できる学校でありたい」と、STEM教育をきっかけにした学校や地域の変化を感じ取っていた。

 文科省のWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業の拠点校に指定されている静岡県立三島北高校では、昨年度から学校設定科目として「STEM for SDGs」を開設し、エネルギーや水、食料などの分野で、専門家と連携した探究型学習を始めた。例えば、水と食料の問題について取り組んだグループは、水耕栽培で生育可能な植物を調べ、災害時に不足する栄養価などを考慮しながら、モロヘイヤの研究に着手。自然光と赤色、青色のLEDを使用した場合の生育状況の違いについて、実験装置も含めて専門家と話し合いながら研究を進めた。

 カリキュラムづくりに関わった同校の齊藤浩幸前校長は、「STEM for SDGs」では中間発表などの大小のゴールを小まめに入れたことで、生徒はモチベーションが維持できた一方、こうした探究型学習で身に付けた問題解決の流れを、他の教科でも応用できる意識があまり持てていなかったことを指摘。「日常の授業も、知識や技能を生かして小さな問題解決をしていく必要がある。そのためには、安価で簡易に作成でき、思考が広がっていく教材を開発したり、教員から的確な社会問題を提示したりすることが大事だ」と話した。

 こうした発表を踏まえ、同学会副会長の白水始(しろうず・はじめ)国立教育政策研究所・統括研究官はSTEM教育における学習評価について、「育成を目指した力は、ものづくりなどの具体的な課題と照らして、どのように発揮・活用されるのかを想定しておくことが大事だ」とし、授業中の児童生徒の学習活動や、単元・学期前後に行う課題と試験での評価について解説。特に後者では、これまでの学習を踏まえた応用的な課題を提示し、グループで協調して問題を解決する様子を動画で撮影して、観点別に言動を採点するといったパフォーマンステストの手法などを紹介した。

 同学会では10月23日に、この日のシンポジウムと同じ「STEM教育の実践と評価」をテーマとした第4回年次大会の開催を予定している。

関連記事