テレビ演出家×教員 「未来の先生」を考える異色チーム

 メディアと教員がタッグを組み、新しい教育の在り方を探る――。「アンポータリズム・エデュケーション」は「未来の大人を育てる『未来の先生』になる」をミッションに、全国の教員を巻き込みながら、オンラインイベントやメディアサイトなどの運営に取り組み、新しい教育の形を提案する、一般社団法人「未来のテレビを考える会」内のプロジェクト。テレビ演出家として、『ダウンタウンDX』など数々のヒット作を手掛けてきた西田二郎氏(未来のテレビを考える会)らメディア人も参加し、これからの学校教育や教員像について教員を中心に考えを深め合っている。発起人の一人である井波祐二教諭(東京都立豊多摩高校)に、活動内容などを聞いた。

社会の大人全員が「先生」
キックオフミーティングの様子。前列・中央が西田氏(井波教諭提供)

 「世の中の輝いている教員にスポットを当てたい」と、井波教諭は語る。

 「未来の大人を育むために頑張っている教員は、実はたくさんいる。革新的なスーパー先生だけでなく、児童生徒のためにコツコツとひた向きに頑張っている教員は、実はすぐそばにいる。でもなかなか見えにくい。そんな教員の存在を全国の学校現場や、保護者、社会に知ってもらえるよう発信していきたい」と、活動の狙いを明かす。

 当時、定時制高校で教壇に立っていた井波教諭が、さまざまな分野の社会人をゲストに招き実施していた会合がきっかけでつながった西田氏は、学生時代に塾講師の経験をしていた時期もあり、独自の視点で教育を語る姿が印象的だったと、井波教諭は振り返る。

 「西田さんの『教師だけでなく、社会の大人全員が先生という捉え方で教育を語ろう』という前向きな姿勢に、とても刺激を受けた。さらに『未来の大人を育てよう』という教育観が、私も含めた教育現場で奮闘する仲間と同じだった」と井波教諭。

 今では200人以上の賛同者が集まり、教育界にとどまらない業種の枠を越えた人々が、教育を語り合う異色の団体となった。その活動は多岐に渡る。

 例えば、コロナ禍の一斉休校期間にはさまざまな講師を迎えたオンライン勉強会を開催。チームのメンバーだけでなく、小中高生や保護者などを広く招き実施した。学校や家庭で出会う大人とは一味違って熱弁する西田氏のエネルギッシュな姿に、休校下でふさぎこみがちだった子どもたちも刺激を受けた様子だったという。

PTA全国大会をプロデュース
同団体の発起人の一人、井波教諭(本人提供)

 その他にも、学生が現役の教員にインタビューして実践や教育観をひも解く公開インタビューや、教員自身が執筆する教育メディアサイトの運営など、現場で奮闘する教員の「生の声」を届ける環境を生み出している。

 さらに、外部とタイアップしたイベントづくりにも着手する。福岡県北九州市のPTA協議会から依頼があり、8月末に控えた「第69回日本PTA全国研究大会北九州大会」にも関わることになったのだ。西田氏が総合司会を務め、井波教諭をはじめとしたチームメンバーがプロデュースや進行、運営に携わる。横浜創英中学・高校の工藤勇一校長や大阪市立大空小学校の初代校長である木村泰子氏、元文科省初等中等教育局財務課長の合田哲雄氏をゲストに迎えた鼎談などを予定する。他にも、参加者が新たな教育の可能性について考える驚きや発見につながるような催し、仕掛けを企画しているという。

 教育界以外の人物と教育を語り合う意義について、井波教諭はこう話す。

 「教育の世界だけで教育を語っても、なかなか新たな発想は生まれにくい。そもそも教育は教育界だけで完結するものではなく、社会と接続している。社会に求められるものに合わせるというわけではなく、社会から教育はどう見えているのかを、多様な人たちと対話する場が大切だと感じる」

 アンポータリズム・エデュケーションのセミナーは8月21、22日にオンラインで開かれる「未来の先生フォーラム2021」で、2日目午前10時から実施される。西田氏も参加し、集まった人たちと共に「未来の先生」について考えを深める。

 井波教諭は「できるだけ、参加者の皆さんとの双方向のイベントにしたい。西田さんという異業界のプロフェッショナルなどを巻き込みながら、職業や年代に関係なく、これからの教育を語り合う楽しさを感じてもらいたい。新たな気付きがあると思う」と期待を込める。

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