幼児期の生活リズム改善や近視抑制へ 「外遊び」推進訴え

 コロナ禍も重なって子供が安全に外で遊べる環境が確保しにくくなっている中、子供の成長のために「外遊び」を推進させようというシンポジウムが8月17日、オンラインで開かれた。参加した学者や民間組織の代表は、コロナ禍で幼児期の生活リズムの乱れや近視の増加に拍車がかかっていると危機感を示し、子供たちが健全に成長していくためにも、国などが責任をもって安心して外遊びのできる環境づくりに取り組むことが必要だとの意見を述べた。

基調講演で、幼児の生活リズムの乱れについて危機感を示した石井教授

 シンポジウムは、子供の発達に関わる学者などでつくる「子どもの健全な成長のための外あそびを推進する会」(代表発起人・前橋明早稲田大学教授)が、東洋経済新報社と共催で開いた。

 基調講演では、京都ノートルダム女子大学現代人間学部の石井浩子教授が、1歳児から6歳児までの外遊び時間が平均で30分以内であるのに対し、テレビ・ビデオの視聴時間が6歳児で107分にも及んでいるとの調査結果を示し、昨年からのコロナ禍による外出の抑制で、さらに外遊び時間の減少に拍車がかかっていると指摘。「幼児期に必要な生活リズムというものがあるが、心肺機能を高めるためにも必要な外遊びができていない。こうした幼児期からの国家的な危機に気付いて、外遊びを推進するスペシャリストを養成することなどが急務だ」と強調した。

 続いて、子供の発達に関わる学者や外遊びに関わる民間組織の代表などが、それぞれの視点から外遊びの推進に必要な取り組みについて意見を述べた。

 筑波大学医学医療系眼科の平岡孝浩准教授は、世界的に子供の近視は増えており、日本でもコロナ禍で屋外活動が減ってデジタルデバイスの使用が増えたことで、近視が増加していると説明。「台湾では2010年から屋外活動を促す政策プログラムを導入したところ、その年から視力不良者が減少に転じた。国が真剣に取り組めば視力低下は防げる。屋外活動を確保するなどの取り組みが必要だ」と訴えた。

 また、元陸上選手でデポルターレ・パートナーズ代表の為末大さんは「みんなで公共を作る」という視点が必要だと強調。「子供が外遊びをする場所を開放しようとすると、いろいろな課題が生まれるが、例えば校庭なら校長や行政の責任にするのでなく、自分たちの責任としてルールも決めて受け入れようという姿勢が求められると思う。それを乗り越えないと、公共の場所は手に入らないのではないか」と問題提起した。

関連記事