成年年齢引き下げで実践発表 公民科と家庭科の連携授業

 法務省は8月17日、教員向けの法教育セミナーをオンラインで開催した。来年4月から成年年齢が18歳に引き下げられることを見据え、高校の公民科と家庭科で同じ教材を活用した教科横断型の実践事例の発表などが行われた。

家庭科と公民科の授業で活用した法教育リーフレット「18歳を迎える君へ」

 18歳に成年年齢が引き下げられることで、民法上の未成年者取消権がなくなることから、契約時のトラブルに巻き込まれやすくなることが懸念され、学校での法教育や消費者教育の一層の充実が求められている。これを受けて「来年4月に迫った成年年齢引き下げに向けて」をテーマにした今回のセミナーでは、専門家の講演のほか、分科会で小学校、中学校、高校における契約の問題を取り上げた授業実践の発表が行われた。

 成年年齢が引き下げられると、在学中に成年を迎える生徒が出てくることになる高校では、福岡県立福岡高校の藤野愛教諭と横内正太郎教諭が、1年生を対象に法務省の法教育推進協議会が制作したリーフレット「18歳を迎える君へ」を活用した、家庭科と公民科の授業について報告した。

 家庭科を担当した藤野教諭は、まず、生徒に導入としてリーフレットを読ませた後、4人1組の班の中で「成年年齢引き下げ」「契約の拘束力」「消費者被害」「契約自由の原則とその例外」の4つのテーマごとに、生徒に質問を考えさせた。次に、同じテーマの生徒同士でグループを作り、持ち寄った質問に関する調べ学習を実施。それぞれの質問の答えをまとめると、元の班に戻って説明する「知識構成型ジグソー法」を応用した活動を展開した。最後に、各自で作成した質問とその答えは、付箋アプリを使ってクラス全体で共有した。

 藤野教諭は「教員が知識を教えることも大切だが、生徒が正しい知識を踏まえて自ら問いを立てることも大切だ。教員がファシリテーションしながら、対話的で深い学びができる」と手応えを得ていた。

 新学習指導要領で新たな科目になる「公共」を見据えた授業を展開した横内教諭は、授業の目標を「成年になることの意味を理解することに加え、法の役割について知り、正しい選択行動をするために必要なものは何かを考える」と設定。リーフレットを利用しながら、成年年齢の引き下げについて、未成年者に求められる行動と、成年として求められる行動の違いに気付き、成年年齢の引き下げによる変化に着目させたり、成年年齢の引き下げで生徒が感じている期待や不安を、具体的に自分の言葉で表現させたりする活動を行った。

 横内教諭は「家庭科と公民で同じリーフレットや同じテーマの授業をしたことで、それぞれの教科におけるものの見方や考え方、比重の違いがより明確になった。同じテーマを複数の視点で考えさせると、生徒の思考や考え方も広がる。教科横断型の実践は意味がある」と、教科横断で取り組んだ成果を語った。

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