コロナ禍のパラ学校観戦 「教育的意義」強調も対応苦慮

 8月24日に開幕する東京パラリンピックについて、政府、東京都、大会組織委員会、国際パラリンピック委員会(IPC)の4者協議が16日夜に開かれた。新型コロナウイルスの感染が急増していることを受け、全ての競技を無観客とする一方で、小中高などの児童生徒が学校・自治体単位で観戦する「学校連携観戦」は、「共生社会の実現に向けた教育的要素が大きい」として、希望に応じて実施する方針を決めた。それを受けて各自治体では、観戦希望の確認や感染対策などの検討に追われている。

 パラリンピックの会場は東京都、埼玉県、千葉県、静岡県で、うち東京都、埼玉県、千葉県は現在、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言下にある。静岡県にも8月20日に宣言が発令されることが決まり、こうした中で、学校連携観戦に伴う感染リスクの高まりを懸念する声も上がっている。

16日の4者協議であいさつする大会組織委員会の橋本会長(Photo by Tokyo 2020)

 4者協議後に開かれた記者会見で組織委の橋本聖子会長は、パラリンピックが開催される1都3県の知事から「ぜひ子供たちに観戦させてあげたい」と、学校連携観戦を求める声があったと述べた。また自身も「子供たちが直接、パラリンピアンが頑張っている姿、競技をしている姿を見ることは、教育に値する大きなもの。万全の感染症対策を講じた上で、ぜひ子供たちにはパラアスリートの姿を見ていただきたい」と、その意義を強調した。

 今回の学校連携観戦では人流の抑制のため、当初予定されていた県境をまたぐプログラムは取りやめ、学校に近い会場で観戦する。また、感染状況が悪化した場合には中止も検討する。橋本会長は今後、希望する児童生徒が安全に観戦できるようにするための対策などについて、自治体・学校側と協議を進めるとした。

1都3県の対応 東京都「なるべく早く確定したい」

 東京都は、観戦希望の自治体数について17日現在、調整中としている。参加は自治体単位、学校単位の両方のケースがあり、都の担当者は「なるべく早く参加数を確定したい」と話す。

16日の4者協議にオンラインで参加した小池都知事(Photo by Tokyo 2020)

 また、新型コロナウイルスの感染が広がっていることなどを背景に、地域によっては学校と会場の間の貸し切りバス運行などを求める声もあるといい、都の担当者は「要望に応えられるよう、対応を検討している」という。併せて、学校連携観戦に特化した感染対策マニュアルの周知や、会場での補助員の配置などの対応を進めている。

 小池百合子都知事は16日の4者協議の冒頭、「東京都においてデルタ株の影響でコロナの感染は拡大している」との認識を示しながらも、感染対策を講じた上で「大会を成功へと導き、多様性と人権尊重の理念を社会に根付かせる、真の共生社会の実現といったレガシーにつなげていきたい」と訴えた。

千葉県は8市町で約3万5000人が観戦予定

 千葉県では、幕張メッセの3会場でシッティングバレーボールなど4競技が予定されている。同県によると、17日時点で千葉市や市川市、木更津市など8市町が観戦を希望しており、児童生徒と引率する教員を合わせて約3万5800人が観戦する予定。

 観戦チケットは県が一括購入して学校に配り、交通手段の確保は各自治体で対応するスキームで準備を進めている。約9割は貸し切りバスで学校と会場を往復する形で、残り1割も通学で電車を利用している高校生や、徒歩で移動可能な学校などになる見通し。各自治体からは感染対策として
、できるだけ児童生徒が座る観客席の座席の間隔を空けてほしいとの要望が寄せられており、無観客が決まったことで、県がこれから座席の割り振り作業などの準備を進めることにしている。

埼玉県では新座市が観戦を検討中

 埼玉県では17日現在、射撃の会場となっている陸上自衛隊朝霞訓練場に近い新座市と県立学校1校が学校観戦を検討し、児童生徒と教員を含めて約350人分のチケットを確保しているという。移動手段は基本的に公共交通機関を利用する方向で検討してきたが、新型コロナウイルスの感染対策として貸し切りバスに切り替えるかどうか市や組織委とも相談しながら詰めることにしている。

 ただ、新座市教委は、現在の感染状況が続けば学校観戦は難しいとの見方を示しており、競技が始まる今月30日までの状況をにらみながら最終的に判断する方針。同市教委教育支援課は「会場に近い学校では楽しみにしている子供たちもおり、貴重な体験なので観戦させてあげたいとも思うが、今後1週間位、感染状況を見極めたい」と話している。

静岡県では数自治体が希望

 静岡県の川勝平太知事は16日夜、4者協議の決定を受けて「学校連携観戦については、共生社会実現に向けた教育的要素が大きいことから、保護者等の意向を踏まえて自治体や学校設置者が御希望される場合には、安全対策を講じた上で実施していくことが重要と考えております」とのコメントを出し、希望する自治体を支援する方針を示した。

 同県では、富士スピードウェイなど2つの会場で自転車競技が予定されており、県によると当初より希望する自治体は減ったものの、17日時点で数自治体が引き続き学校観戦を希望しているという。

 一方で、同県では今月20日から来月12日までの間、緊急事態宣言が発令されることが決まったため、学校から会場までの交通手段について貸し切りバスを導入するかどうかなど、早急に検討することにしている。

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