「探究力」育てる教育の具体策づくりへ 3府省でWG設置

子供たちが探究力を身に付けるための教育や人材育成に向けた具体策を検討するため、文科省など3府省の審議会委員で作るワーキンググループ(WG)が設置されることになり、キックオフミーティングが8月18日、開かれた。中教審の荒瀬克己委員(教職員支援機構理事長)らが、学校現場で実践した探究的な学びの事例を報告。各委員が意見を述べ、探究的な学びやSTEAM教育の推進に向けて具体的な方策づくりを進めることになった。

この会議は、Society5.0と呼ばれる「超スマート社会」に向けて、探究力を身に付ける教育の実現に向けた具体策を検討しようと、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議と文科省の中教審、経産省の産業構造審議会の委員らで組織。同日は17人が出席した。

はじめに探究的な学びの取り組み事例として、荒瀬委員が京都市立堀川高校で実践した事例を報告した。この中で荒瀬委員は、生徒が事物に興味関心を持って問いを立て、自ら解決に向けて判断して取り組める「自立した学習者」の育成を想定したと紹介し、「人は学ぶ意欲を持って生まれてきたはずで、『教師が教える』から『生徒が深く学ぶ』に転換することが必要だと考えた」と説明。そのためには学習意欲を引き出すカリキュラム・マネジメントが必要であり、外部人材なども活用して学び合う場としての学校づくりに変えていくべきだと強調した。

また、生徒と学会発表までできるレベルの専門的な研究に取り組んできた木村健太委員(広尾学園中高校・医進サイエンスコース統括長)は、10年前の入学時に偏差値が高くなかった生徒たちが高度な研究に挑んで成果を出す姿を見て、「偏差値や優秀とは何だろうと考えさせられた」と振り返り、生徒たちが研究を進める中でより深い知識や英語の大切さなどを主体的に学んだことを紹介して、「10年間でやってきたことは生徒を信じること。生徒がわくわくするような仕組みづくりが大切だ」と強調した。

続いて、探究的な学びやSTEAM教育を推進するための方策などについて、各委員が意見を述べた。戸ヶ﨑勤委員(埼玉県戸田市教委教育長)は「日本の教科書は質が高いが、教科書会社の指導書通りに教えることが問題であり、日本の教育を支えてきたのは主体的な学びを実践した優秀な教員だった。教員のわくわく感は間違いなく生徒に伝わるものであり、学びの動機付けや生徒の好奇心を育てるような学びの推進が重要だと思う」と述べた。

また、教員の人材育成の視点から、松田悠介委員(認定NPO法人Teach For Japan創業者)が「人材の育成には教員の質・量の担保に外部人材の参画が必須だが、外部人材を活用できる特別免許状の制度はサポート体制などが不十分で課題もある。外部人材活用は予算も含めて成功イメージをもって実行までコミットしてほしい」と提言した。

一方、産業界の立場から佐藤康博委員(みずほフィナンシャルグループ取締役会長)は「最終的に人材育成は国力の問題に関わってくる。テクノロジーの進展であらゆる産業がターニングポイントを迎える大変革期の中で人材育成をどうするかといった視点からも、議論すべきだ。そのためにはロールモデルを示すことが必要で、産業界と学会がどう連携して取り組めるのか、出口の議論をしっかり考えたい」と述べた。

最後に座長を務める藤井輝夫東京大学総長は「議論を通して『学び方を学ぶ』といったキーワードも出てきた。今後、時間と人材、財源といったリソースの再配分をどう考えていくか、予算や制度の問題も含めて議論を詰めたい」と締めくくった。

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