登校が難しい児童生徒にオンライン学習支援 熊本市

 不登校など登校が難しい児童生徒への学習支援として、熊本市教委は教育ICTを活用したオンライン学習支援をスタートさせる。来年度からの本格実施に向けて、9月からオンライン学習体験を行っていくという。

熊本市がスタートするオンライン学習支援のイメージ

 同市では、これまで学校への登校が難しい児童生徒に対して別室登校や、学校によってはオンライン学習での指導などを行ってきた。今回の取り組みでは、オンライン学習支援を希望する児童生徒は、自宅などで1人1台端末を活用して、「オンライン学習支援校」に新たに配置される担当教員とやりとりをしながら、一人一人のペースに合わせて学ぶことができるようになる。「オンライン学習支援校」は、同市立本荘小学校と芳野中学校の2校。

 例えば、自主学習では学習アプリやウェブ教材、動画で学習していく。自主学習での疑問点などは、担当教員にオンラインで質問できる。また、オンライン授業では、Zoomやロイロノートを活用し、双方向のやりとりをしながら学習を進めていく。こうしたオンライン学習に参加した場合は、指導要録上の出席扱いとなる。

 各専門家などゲストを招いた授業も計画されている。また、支援校の児童生徒とオンラインで一緒に学ぶこともでき、希望すれば運動会などの学校行事も含め、支援校でのリアルな活動で学ぶことも可能という。スクールカウンセラーも配置されており、教育相談にもオンラインで対応する。

オンライン学習支援での活動例

 同市教委がこうした取り組みを始めるきっかけとなったのは、昨年度の一斉休校時に、複数の学校から上がってきた「不登校の子どもたちがオンラインなら参加できていた」という報告。

 例えば、ある中学校では学校再開後も不登校の生徒に対して、学年の教員が協力して空き時間を使って個別のオンライン学習支援を継続したところ、学習意欲が高まったことで登校につながった事例もあった。

 同市教委総合支援課の川上敬士課長は「熊本市には、小中合わせて1500人ほどの不登校児童生徒がいる。登校が難しい理由はさまざまだ。ただ、長期化の原因の一つとして『今さら授業を受けても分からない』という子も、かなりの割合でいるのではないか」と分析。

 これまでは「まずは学校においで」というように学校復帰を目指す支援が多く、学習の保障や学力の遅れなどに対する手だてが不十分だったと言い、「熊本市は1人1台を早い段階から活用してきたことが強み。1人1台になったことで、登校が難しい児童生徒に『オンラインでも学習できる』という選択肢を、一つ増やすことができるのではないか」と実施に至った経緯について述べた。

 ただ、これを各学校で行うことは、教員の負担を考えても難しいことは明白だった。そこで、ともに小規模校である本荘小学校と芳野中学校を「オンライン学習支援校」として指定し、新たにICTが活用できる再任用の教員を両校に1人ずつ配置。この担当教員が中心となって、オンライン学習支援を希望する児童生徒に対応していく。各校の子どもたちとの交流授業や交流活動の時には、同校の教員と協力しながら行っていく。

 小規模校をオンライン学習支援校に指定した理由について、川上課長は「オンライン学習する子どもたちが支援校の授業やその他の活動に参加することで、支援校の子どもたちにとっても交流人口が増え、新たな刺激となり、プラスになるのではないか」と説明した。

 9月の「オンライン学習体験」は、小学生・中学生を合わせて50人ほどでスタートする予定となっている。体験者には事後にアンケートを取り、本格的にスタートする来年度からの参加人数についても把握しながら、人員などの体制を整えていくという。10月以降のオンライン学習体験についても、随時、参加希望者を募集している。

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