【デルタ株危機】臨時休校「残念ながら想定を」 文科相会見

 新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、萩生田光一文科相は8月20日の閣議後会見で、二学期のスタートに向け、学校の福祉的な役割などを理由に、全国一斉の臨時休校を要請する考えがないことを改めて確認した。同時に、学校で感染者が出た場合に備え、「学級閉鎖、学年閉鎖、学校閉鎖というオプションもあらかじめ用意しておかなければならない」と述べ、地域の感染状況に応じて学級閉鎖や臨時休校などを想定して考え方を事前に確認しておくよう求めた。文科省は同日、新学期に向けて学校現場に感染症対策の徹底を求める事務連絡を出し、学校における感染症対策のチェックリストを示した。

2学期に向けた学校の感染症対策を説明する萩生田文科相

 萩生田文科相は、記者会見の冒頭、「現在、これまでに経験したことがない感染拡大の局面を迎えている。学校における感染症対策について、警戒度を格段に高める必要がある」と述べ、厳しい現状認識を強調した。

 その上で、「学校は学習機会や学力の保障のみならず、全人的な発達成長を保障する役割や子供たちの居場所、セーフティーネットとして身体的・精神的な健康を保障するという福祉的な役割も担っており、地域社会にとって重要な機関」だという理由で、国から全国一斉の臨時休校を要請する考えがないことを改めて表明。また、地域一斉の臨時休校についても、児童生徒の学びの保障や心身への影響から「慎重な検討が必要」とする従来の考えを再確認した。

 一方、児童生徒や教職員の感染が確認され、学校内で感染が広がっている可能性が高い場合には「感染が広がっている恐れの範囲に応じて、学級単位や学年単位など必要な範囲で臨時休業を行うことは当然考えられる」と指摘。事務連絡で示したチェックリストを参考に基本的な感染症対策の取り組み状況を点検するとともに、学校内で感染が広がるケースに備え、検査までの手順、濃厚接触者の範囲の考え方、出席停止や学級、学年単位の学校閉鎖、学校全体の臨時休校を行う場合の考え方について、事前に確認しておくよう求めた。臨時休校や出席停止などによって、学校に登校できない児童生徒に対し、1人1台端末を活用した学習指導の準備も求めた。

 こうした臨時休校などの考え方について、萩生田文科相は「感染状況は地域によって異なる。例えば、自治体内での感染が非常に劇的に増えている場合とか、地元の医療体制の状況を考慮しなければならない状況があると思う。そういった意味で、仮に(学校内で)感染が発生した場合には、学級閉鎖、学年閉鎖、学校閉鎖というオプションもあらかじめ用意しておかなければいけない。このことは改めて発信したい」と説明。「その次の段階として、仮に臨時休校になった場合に、子供たちの学びの保障の体制がちゃんとできていますか、ということも、この機会にきちんと確認をしてほしい」と続けた。

 全国一斉の休校要請を行わず、地域一斉の臨時休校にも慎重な検討を求める一方、感染状況に応じた臨時休校への備えを学校現場に促すという説明は、すでにさまざまな感染対策を重ねてきている学校現場や学校設置者に対し、さらに難しい対応を迫ることにもなりかねない。

 この点について、萩生田文科相は「学校設置者の判断で、分散登校とか、学校閉鎖を判断することは今後、残念ながら、想定していかなければならないと思う。他方、学校の持つ力は、ただ単に授業を行うだけではない。(学校は)子供たちにとって大切な場所だと思うので、基本的には開くことが前提になるけれども、状況に応じて柔軟な対応をしていただく。このことをしっかり地方自治体と協議していきたい」と説明。「お互いに初めてのフェーズに入ってきたので、悩む場面もあると思う。都道府県や市町村の保健部局とも連携しながら、判断を間違えないようにしていきたい」と述べ、理解を求めた。

 また、文科省が同日、都道府県の教育委員会などに出した事務連絡では、新学期にあたり、感染症対策について、これまで改訂を重ねている衛生管理マニュアルをベースに、留意すべき事項をまとめた。

 現在の感染状況については「夏季休業期間中の部活動など教育活動の場面や学習塾などで相次いでクラスターが確認されており、児童生徒などの感染者数についても増加が懸念される」と指摘し、学校における感染症対策の徹底を改めて要請。新学期に向け、学校現場が感染症対策の実施状況を再点検するためのチェックリストを添付した。

学校等における感染症対策チェックリスト

新学期を迎えるに当たり、各学校等においては、以下の点について点検を行い、感染症対策に万全を期していただくようお願いします。

□ 発熱等の風邪症状があり、普段と体調が少しでも異なる場合には、児童生徒等・教職員ともに自宅で休養することを徹底していますか。特に、地域の感染レベルが3および2の地域(※)では、同居の家族に同様の症状が見られる場合も登校・出勤を控えていますか。
 ※緊急事態宣言の対象区域はレベル3に、まん延防止等重点措置の対象区域はレベル3または2に該当します。

□ 発熱等の風邪症状が見られる児童生徒等・教職員に対し、かかりつけ医等の身近な医療機関を受診するよう促していますか。

□ 児童生徒等の登校時に、健康観察表などを活用し、検温結果および健康状態を把握していますか。特に、地域の感染レベルが3および2の地域では、校舎に入る前にこれらを把握していますか。

□ 登校時や登校後に児童生徒等に風邪症状が見られた場合には、安全に帰宅させ、症状がなくなるまで自宅で休養するよう指導していますか。

□ 児童生徒等や教職員に対し、こまめな手洗いの徹底を図るとともに、正しいマスクの着用(鼻と口の両方を確実に覆う、隙間が生じないよう顔にフィットさせる)や健康的な生活により抵抗力を高めるよう促していますか。

□ エアコンの使用時を含め、気候上可能な限り、教室等における常時換気を実施していますか。また、学校薬剤師等の支援を得つつ、十分な換気ができているか確認していますか。

□ 教室において、レベル3の地域では、児童生徒の間隔を可能な限り2m(最低1m)確保するように座席を配置していますか。また、レベル2および1の地域では、1mを目安に最大限の間隔をとるように座席を配置していますか。

□ 給食、弁当、部室での食事、教職員の食事などを含め、すべての飲食の場面において、飛沫(ひまつ)を飛ばさないような席の配置や、原則として会話を控えるなどの対応を工夫していますか。また、食事前における室内の空気と外気の入れ替えや、食事後の歓談時におけるマスクの着用が行われていますか。

□ 各教科等の学習活動や方法が、衛生管理マニュアルの第3章に示された、地域の感染レベルに応じた活動の考え方に相当するものとなっていますか。特に、「感染症対策を講じてもなお感染のリスクが高い学習活動」の実施の是非について、地域の感染レベルに応じて判断していますか。
 ※全ての教科等についてチェックしてください。

□ 部活動(その前後の活動も含む)において、地域の感染レベルに応じた活動を行っていますか。その際、地域の感染状況に応じて、感染リスクの高い活動を一時的に制限することも含め検討していますか。また、部活動に所属する生徒等が食事する際なども含め、部活動の内外を問わず感染症対策を徹底していますか。

□ 学級担任や養護教諭等を中心としたきめ細かな健康観察や健康相談の実施等により児童生徒等の状況を的確に把握していますか。また、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等による支援を行うなど、児童生徒等の心のケアに取り組んでいますか。

□ 教職員が休暇を取りやすい職場環境とするため、仮に感染を責める雰囲気がある場合は管理職が率先して払拭(ふっしょく)するよう努める、業務の内容や進捗(しんちょく)等の情報共有を日頃から行う、教職員が出勤できなくなった場合の校務分掌について検討を進めるなどの工夫をしていますか。

□ 職員室等において勤務する際に、可能な限り間隔を確保していますか(おおむね1~2m)。また、十分なスペースを確保できない場合は、空き教室の活用等による分散勤務を検討していますか。

□ 教職員の精神面の負担に鑑み、校務分掌の見直しを図るなど業務負担が過重とならないよう留意していますか。また、予防的な取組の充実や相談窓口の周知など、教職員が一人で不安や悩みを抱え込むことのないよう対策を講じていますか。

□ 臨時休業や出席停止等により、やむを得ず学校に登校できない児童生徒の学びを保障するため、ICT の活用等による学習指導や学習状況の把握を行っていますか。また、これらが可能となるよう、端末の持ち帰りを安全・安心に行える環境づくりに取り組んでいますか。

□ 感染者、濃厚接触者等とその家族に対する誤解や偏見に基づく差別を行わないよう指導を行っていますか。また、ワクチン接種についても、同様に差別が行われないよう必要な指導を行っていますか。

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