【未来の先生】Z世代と新時代の教育 サコ氏と日野田氏が対談

 教育の未来をリードするイノベーターらが集まる日本最大級の教育イベント「未来の先生フォーラム2021」(同実行委員会主催、教育新聞社共催)が8月21、22日、オンラインで開催された。21日には「Z世代とともに創る 新時代の教育」をテーマに本紙による特別対談が行われ、本紙「オピニオン」執筆メンバーである京都精華大学のウスビ・サコ学長と、武蔵野大学中学校・高等学校および武蔵野大学附属千代田高等学院の日野田直彦学園長が登壇。人口の3分の1を占めるZ世代とともに、教員はどうZ世代と向き合い、ともに新時代の教育を創っていくべきなのかについて語り合った。

未来の先生フォーラムで対談するウスビ・サコ氏(画面下)と日野田直彦氏(画面右上)。左上は司会を務めた教育新聞編集長の小木曽浩介

 サコ氏はZ世代について、「デジタルツールを活用し、国境を越えたコミュニケーションを展開している。私たち大人が見ているものと、彼らが見ている世界は違う」と述べ、「彼らがどういう価値観を持って、これから生きていくのかということを考える必要がある」と語った。

 日野田氏は「Z世代に活躍してもらうためには、大人が邪魔をしないこと。そして、対話をする必要がある」と教員をはじめとした大人の在り方について言及した。

 これからの教育については、サコ氏は「世界の若者の距離は近くなっていて、彼らはリアルタイムで世界の情報を得られている。そうした状況の中で、自分たちの国境の中だけで教育していいのだろうか」と問い掛け、「彼らにとって、グローバルは当たり前。市民社会を越えた、グローバル全体を視野に入れた人間として育成していくべきではないか」と述べた。

 日野田氏は、教育現場で今の中高生を見ていて感じることとして、「彼らはグローバルな世界で生きているけれども、意外と身近な社会を変えた経験がなく、空虚な世界、インターネットの世界で完結してしまっている場合もある」と指摘。その上で、学校教育で必要なこととして、「ハンズオンで、自分たちが何かできるという実感と、自分で選択したという経験を得られるようにしなければ、中身のない人間になってしまう」と警鐘を鳴らした。

 またサコ氏は、日本においては「グローバル教育=語学」となりがちだが、「そうではなく、自分の足元がきちんと見えていることが必要。世界の人たちと一緒になったときに、流されるような人間を育てても意味がない。『自分とは何者なのか』を理解し、自分の立ち位置を把握して、自分は何のために生きていくのかを、自分の言葉できちんと語れるような人に育てるべきだ」と指摘。

 日野田氏もこれに同調し、「日本は自己開示を嫌がる。かつての日本ではそれで良かったかもしれないが、グローバル社会においては、人と対話して、相手の価値観を共有しながらフィードバックするのが前提だ」と強調した。

 さらに、コロナ禍が教育に与える影響について、日野田氏は「コロナ禍において子どもたちは、人が集まって学ぶ意味、チームになって学ぶ意味や大切さを知ってくれたのではないか。それは教員も同じだ。大きなきっかけと変化のタイミングだと捉えている」と話した。

 サコ氏は「コロナ禍に直面しているからこそ、見えてきた社会の側面がある。教室で学べたかどうかで、教育は被害を受けているとするのか。今までの教育パターンにおいては制約がたくさんあるが、そこから発見できたものもたくさんあるはずだ」と語った。

 このほか、これからの教員に求められる資質や、各校での新時代に向けた教育の実践、教員の研修制度などについて、対談は1時間半にわたって行われた。その詳細な内容は、9月中旬から本紙電子版で公開する。

関連記事