分身ロボットは人の心をつなぐ 特別支援学校が成果報告

 分身ロボットは場所と人と心をつなぐ――。ベネッセこども基金は8月19日、都内の特別支援学校で実証研究を進めていた、分身ロボット「OriHime」(オリヒメ)を活用した院内学級プロジェクトの成果報告会をオンラインで開いた。入院先の病院や自宅にいる子どもと学校にいるオリヒメがつながることで、あたかも本人が教室にいるかのようなコミュニケーションができたことや、重度の障害がある人がオリヒメを遠隔操作してさまざまな仕事に就ける可能性が示された。

院や自宅にいる子どもが、その場にいるかのように授業に参加できる分身ロボットの「オリヒメ」(昨年7月撮影)

 遠隔操作で人型のロボットを操作し、ロボットに内蔵されたカメラなどから、その場の様子が分かる「分身ロボット」であるオリヒメは、オリィ研究所共同創設者兼代表取締役CEOの吉藤オリィ氏が開発。障害のある人と共同研究をしながら改良を続け、現在は学校現場だけでなく、飲食店や企業などでも導入が進んでいる。

 小学生のころから不登校で、この孤独をどうしたら解消できるかを考え始めたことが、分身ロボットを開発するきっかけとなったという吉藤氏は、この日の講演で、これまでのオリヒメの歩みや新たな可能性を紹介。「次のフェーズとして、重い障害のある人が、いかに誰かに喜んでもらえ、役に立ち、お金をもらえるかまでを考えたい。実際に今、福岡で寝たきりの高校生が渋谷の『分身ロボットカフェ』で働いて、時給1100円をもらっている。これからさらに改良をして、学校で接客のトレーニングをして就業につなげる仕組みをつくれるのではないか」と展望を語った。

オリィ研究所が運営している「分身ロボットカフェ」で行われた成果報告会(Zoomで取材)

 続いて、オリヒメを導入した都内の特別支援学校が、実際の活用事例を発表。教師がオリヒメを持ち歩いて、自宅や病院で過ごしている子どもが社会科見学に行ったり、入院前に在籍していた学校にオリヒメを置き、クラスメートと一緒に授業を受けたりする事例が紹介された。

 都立光明学園の田村康二朗統括校長は「だんだんやっていくと、オリヒメに対して教室にいる子どもたちは、まるでそこに友達がいるかのように声を掛け始めて、その子もオリヒメで返事や身ぶりをしてくれる。友達との共通体験ができ、場ではなく人のつながりができた。そして、この『一緒にいる』という感覚は、心のつながりなのだと思う」と語った。

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