【未来の先生】木村泰子氏が講演 「子どもが育つ学校に変えよう」

 日本最大級の教育イベント「未来の先生フォーラム2021」(同実行委員会主催、教育新聞社共催)の特別プログラムとして、大阪市立大空小学校の初代校長である木村泰子氏が8月21日、「子どもを主語にする学校づくり」をテーマにオンラインで講演した。木村氏は「『子どもを育てる』学校から、『子どもが育つ』学校へ変えていこう」と参加者らに呼び掛けた。

「教員は学びの伴走者に」と呼び掛ける木村氏

 木村氏は2006年に開校した大阪市立大空小学校の初代校長を9年間務めた。同校では「全ての子どもの学習権を保障する」という理念のもと、教職員や地域の住民たちとともに、障害の有無に関わらず、全ての子どもが常に一緒に学び合っている。

 木村氏は同校での実践を振り返りながら、「これまでの学校は『子どもを育てる』学校だった。でもその主語は、教員や大人だ。それを『子どもが育つ』学校にすれば、その主語は子どもになる。これを授業に置き換えるなら、『教える』授業から『学ぶ』授業に変えるということ。つまり教員は教えるプロから、学ぶプロにならなければいけない」と強調。

 「教員は学びの伴走者になることが求められている。私自身も、大空小の先生たちもたくさん悩んだ。教えない授業をするためには、その課題を子どもと共に学んでいったらいい」とアドバイスした。

 また、「社会のニーズがこれだけ変わってきている。これまでの学校の当たり前を問い直さない限り、子どもが主語の学校づくりや、全ての子どもの学びを保障する学校は実現しない」と指摘。例えば、多くの学校にある「廊下の右側を歩きなさい」というルールも、「そんなルールでは、左右が分からない子は廊下を歩けなくなってしまうし、そんな社会しかつくれない大人になってしまう」と危機感をあらわにした。

 さらに「『廊下の右側を歩きなさい』という学校の当たり前を、『廊下はぶつからないように歩こう』、これに変えるだけで、子どもたちは主体的に関わっていくようになる。こんな簡単なことが、子どもたちが10年後、20年後の社会で生きて働く力になる」と説明。

 コロナ禍で学校の教育活動に制限が多く、修学旅行や運動会を中止せざるを得ない状況になっていることなどにも触れ、「今の子どもたちはかわいそうと言う声が聞こえるが、私はそうは思わない。かわいそうとばかり言っていたら、子どもたちは前を向けない。大人と子どもが一緒になって、今何ができるのかを考え、新しいものを生み出すチャンスだと思っている」とエールを送った。

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