パラ学校観戦実施に教育委員ら苦言 「もっと議論尽くせた」

 パラリンピックの学校連携観戦が8月25日から始まったことを受け26日、東京都教委の定例会では、新宿区・渋谷区・杉並区・八王子市で計121校・2万94人、都立高校・中等教育学校で計6校・489人の児童生徒が観戦する予定であることが、教委事務局(都教育庁)から報告された。学校連携観戦の実施が報告された先週18日の臨時会では、教育委員5人のうち4人が、新型コロナウイルスの感染状況などを理由に反対を表明していたが、実施に踏み切ったことで、委員からは改めて苦言が聞かれた。

児童生徒の観戦予定が報告された都教委の定例会

 26日の定例会では、夏休み明けの都立学校での感染対策と、パラリンピックの学校連携観戦が報告事項に挙がっていた。8月16日の週に都立学校の児童生徒の感染者数が432人と過去最多を更新したことで、委員らからは強い懸念の声や、より徹底した支援策を求める声が上がり、事務局も「危機感はもちろん共有している」と応じた。

 一方でパラリンピックの学校連携観戦に議題が移ると、事務局の担当者は「安全安心な競技観戦ができるよう、万全の感染症対策を実施していく」と強調。競技観戦までの体調確認、PCR検査機会の提供、学校・学級単位の専用バスでの往復といった対策と、競技会場での専用エリアの設定、検温や手指消毒、熱中症や体調不良に備えた待機場所の確保などの対策を講じることを説明した。

 これに対し、18日の臨時会で学校連携観戦に反対した遠藤勝裕委員(前日本学生支援機構理事長)は、実施に踏み切ったことに「徒労感、無力感を感じた」と話し、「(教育委員会制度の特性である)レイマン・コントロール(住民による意思決定)について、これまで心配はなかったが、初めて考えさせられてしまった」と、議論が尽くせなかったことへの悔しさをにじませた。

 これに対し、藤田裕司教育長が「会合を再度開いて了承を得るという時間を確保することが難しく、報告をしながら観戦の準備は進めるという形になった。各委員の意見や発言は十分に尊重している」と説明したものの、山口香委員(筑波大学教授・元JOC理事)が「なぜ、時間がない中で決めたのか。もっと議論を尽くせたのではないか。そこがすごく残念だ」と苦言を呈した。

 また新井紀子委員(国立情報学研究所教授兼社会共有知研究センター長)も「時間がない、すでにコストをかけてしまった、観戦したい子がいる、という事務局の事情とは独立して、有識者として話し合う必要があった。一番心配なのは、学校連携観戦をやるか、やらないか(という対応)に、教委の人手がものすごく割かれてしまったこと。2学期に向けた十分な準備をするだけのコストが割けなかったことが、一番の大きな問題点だ」と指摘した。

 一方、18日に学校連携観戦を認める意見を出していた北村友人委員(東京大学大学院教授)は「観戦そのものより移動のリスクが高いという専門家の声を踏まえ、事務局からは専用バスなど徹底した管理をして移動をするとの説明があったため、観戦も可能ではないかと判断した」と、その理由を改めて説明。

 その上で「何が正解か断定できない中で、今回はあくまでも希望に基づいて観戦するということになっている。観戦を選択した学校や保護者に『子供のことを考えていない』『無責任だ』といった攻撃をすることはあってはならない」と理解を求めた。

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