わいせつ教員対策に100億円 免許失効者のデータベース構築

 児童生徒へのわいせつ行為を行った教員を再び教壇に立たせないことを目指す議員立法が先の通常国会で成立したことを受け、各教育委員会や私立の学校法人が児童生徒への性暴力などによって教員免許が失効した情報を一覧できるように、文科省が「特定免許状失効者等データベース」を構築する方針を固めたことが8月26日、分かった。来年度予算の概算要求に構築費用として1億5000万円を盛り込む。わいせつ教員対策では、児童生徒を支援する相談体制を充実させるため、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを大幅に増員するなど関連予算の要求額は100億円に膨らむ。

 特定免許状失効者等データベースは、都道府県教委が児童生徒に対する性暴力によって教員免許が失効した人の情報を直接入力し、その情報を各教育委員会や私立の学校法人など教員採用権者が即時閲覧できるもの。先の国会で議員立法として成立した「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」に基づき、国が構築する。

 官報に掲載された教員免許の失効情報を文科省で集約し、教員採用権者に提供する官報情報検索ツールの作成と提供や、教育委員会と教員養成課程を持つ大学の連携に関する調査研究、全校の事例の収集や発信に必要な事業も前年度に続いて概算要求に盛り込む。

 教員による児童生徒への性暴力の防止に向けては、都道府県や市区町村の教育委員会での取り組みについて、状況把握や点検・分析を行い、必要な指導や助言を実施する児童生徒性暴力等防止推進事業として、新たに1000万円を予算要求する。

 児童生徒の保護や支援のために、相談体制も拡充する。専門的な知識を持つスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置などに必要な経費として、概算要求に今年度比25億6800万円増の97億8400万円を盛り込む。スクールロイヤーと呼ばれる、教育行政の法務相談体制については、地方財政措置の中で引き続き実施する。

 わいせつ教員対策を巡っては、文科省が懲戒免職で教員免許状が失効した場合、欠格期間を実質的に無期限とする教員免許法の改正に取り組んできたが、刑法との均衡がとれないなどとして法改正を見送った。これを受けて、与党が議員立法として「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律案」を国会に提出。教員免許の授与権者に「裁量的拒絶権」を与え、わいせつ行為で懲戒処分を受けた教員への免許の再交付を拒否することができる内容が盛り込まれ、全会一致で可決成立した。

 この新法では、文科省に対し、▽文科相による性暴力等の防止に関する施策を推進するための基本指針づくり▽性暴力等による処分で免許を失効した者の情報に関するデータベースづくり▽都道府県が設置する教員免許状再授与審査会の運営に関する省令づくり――などが求められている。

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