デジタル教科書、来年度に全ての小中学校に導入 文科省概算要求

 2024年度からの本格導入を目指す学習者用デジタル教科書について、文科省が全国全ての小学校と中学校で、1教科分のデジタル教科書を提供する実証事業を来年度に実施することが8月26日、分かった。今年度に全国の小中学校の約4割で実施している実証事業を、国公私立の全ての小学校と中学校に拡大する。デジタル教科書のクラウド配信の円滑な実施に向けた検証事業や、デジタル教科書の使用による効果の検証と課題の分析を行う実証研究なども合わせ、来年度予算の概算要求に57億円を盛り込む。

 文科省では、デジタル教科書について、小学校の改訂教科書の使用が始まる24年4月から本格導入するスケジュールで準備作業を進めており、今年度には小学5年生から中学3年生までを対象に、全国の約4割の学校で希望する1教科分のデジタル教科書を無償提供する実証事業をスタートさせている。

 来年度はこの実証事業をさらに拡充し、原則として国公私立の全ての小学5年生から中学3年生に付属教材を含むデジタル教科書1教科分を無償提供するほか、小学校段階の重点校については1年生から4年生にも対象を広げる。

 特別な配慮が必要な児童生徒については、デジタル教科書の効果が特に期待されることから、必要とする全ての児童生徒が利用できるようにする。このため、特別支援学校の小学部と中学部や特別支援学級の全学年が無償提供の対象となる。

 こうしたデジタル教科書の実証事業に、文科省は前年度比30億5100万円増の50億8400万円を概算要求に盛り込む。

 デジタル教科書はコンテンツのクラウド配信が前提になることから、学校現場ではクラウド配信に必要な通信環境の確保が必須条件になる。こうした学校における通信環境の検証やサーバーなどの配信環境を開発するため、クラウド配信の設計に関する検証事業として、文科省は同2億1500万円増の3億3100万円を予算要求する。

 デジタル教科書の使用について、実証研究校での詳細な調査を継続する一方、デジタル教科書を1教科分無償提供する実証事業と連携して全国でアンケート調査を実施。教師と児童生徒に対する多数のデータを集め、デジタル教科書の使用による効果の検証や課題の分析を行う。デジタル教科書とデジタル教材との連携や学習eポータルの活用、全国学力・学習状況調査と連携したデジタル教科書の教育効果分析も拡充する。こうしたデジタル教科書の効果や影響に関する実証研究として、同4000万円増の1億500万円を予算要求する。

 さらに、デジタル教科書を活用した教員の指導力向上に向け、児童生徒の発達段階や教科の特性に応じた指導法の研究と実践に、新たに6000万円を要求。紙の教科書を対象としている現在の教科書制度をデジタル化に対応させるための調査研究事業として、新規で7100万円を概算要求に盛り込む。

 こうした施策を通じて、文科省では、24年度の本格導入に向け、来年度に学校現場におけるデジタル教科書の導入を促進する。関連予算の要求額は、今年度予算額22億円から、一気に57億円に膨らむ。

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