【未来の先生】「公教育の危機」へ行動を 鈴木大裕氏が講演

 『崩壊するアメリカの公教育:日本への警告』などの著書がある、教育研究者で高知県土佐町議会議員の鈴木大裕氏が8月22日、未来の先生フォーラム2021の特別プログラムとして「先生が先生になれない世の中で:公教育に迫る危機と未来」のテーマで講演し、日本の公教育を取り巻く問題について語った。現状について、「新自由主義社会が進む中で、公教育さえお金で買う時代になっている」と危機感を示し、現場の教員に対して、「教育現場で起こっていることは社会が反映されたもの。その答えを学校や教室の中で探すのではなく、社会の在り方そのものを問い直すことが必要だ」と、社会を変える行動に踏み出してほしいと呼び掛けた。

  鈴木氏ははじめに日本の公教育について、学校や教員がサービス提供者、子供と親がカスタマーとされてしまい、教員は「お客様を教育しないといけない」という大きなジレンマを抱えていると指摘。その結果、学校でマニュアル化や外部委託が進むことに危機感を示した。

日本の公教育の危機について語る鈴木氏

 続いて、コロナ禍により、あらためて学校は子供や保護者にとって大切な場所であることが認識されたと説明。学校現場は授業時数の確保に懸命になったが、ある小学生が「運動会や修学旅行、けんかして仲直りすることも大切です。本当に他にできることはないのでしょうか」と訴えた手紙を紹介し、「既存のシステムの中でつじつま合わせをしようとするが、求められているのは既存の体制を問い直すことではないか。教育とは心に火をつけることという言葉がある。子供たちに学び方を教え、学ぶ喜びを分かち合ってほしい」と訴えた。

 またプログラムの中で、「教員は目の前の子供に向き合うことで大変だと思うが、社会にどうアクションを起こせるのか」と問われたのに対し、鈴木氏は「目の前の子供たちも授業だけでは救えない。今の社会状況があるからこんな現場になるのであり、先生がもっと社会問題に目を向け、仲間を増やすことがすごく大事だ」と強調。「どんな社会にしたいのか、学校にしたいのか、教育にしたいのか、政治にも届けるような行動をとってほしい」と呼び掛けた。

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