【デルタ株危機】緊急事態宣言の対象追加 8道県の状況

 新型コロナウイルスの感染拡大が各地で続いていることを受け、政府は8月27日から▽北海道▽宮城▽愛知▽岐阜▽三重▽滋賀▽岡山▽広島――の8道県を、新たに緊急事態宣言の対象地域に追加した。すでに授業が始まっている地域もある中で、同日時点での、これらの道県の学校の対応状況をまとめた。

8月27日から緊急事態宣言の対象地域に追加された8道県の対応状況
北海道(札幌市)

 すでに学校の授業が始まっている北海道では、マスクの着用や検温、本人または家族に風邪症状がある場合は自宅休養とするなどの感染防止対策を徹底した上で、学校の教育活動を継続する。

 特定措置区域となっている石狩管内、小樽市、旭川市については、8月27日から9月12日まで道立高校などで時差通学を徹底し、短縮授業などによって、全日制課程では午後4時までに完全下校できるようにする。小中学校についても、児童生徒の交通手段や地域の感染状況を踏まえ、時差通学や1日の授業時間の削減を検討するよう求めている。

 宿泊行事は実施を見合わせ、運動会などの感染リスクが高い行事は中止または延期とするか、分散・縮小などの感染防止対策を講じた上で実施する。

 部活動は全道、全国に直結する公式大会に出場する部活動に限り、時間や人数、活動内容を制限して自校内で実施可能とした。

 また、1人でも陽性者が判明した場合は、保健所の疫学調査が終了するまで、学級、学年、学校ごとに段階的に臨時休業を実施し、その間はオンライン学習を実施する方針を示している。

 札幌市も8月26日に新型コロナウイルスへの対応に関するガイドラインを改訂しており、感染防止対策を徹底しながら教育活動を継続する。

 学校で教職員や児童生徒から感染者が出た場合の対応についても方針を示し、感染者が所属する学級は可能な限り速やかに下校。それ以外の学年・学級は通常日課を行った上で下校とする。その後、校舎の消毒と濃厚接触者の特定が終了するまでは休校とし、その間は自宅での毎日朝晩2回の検温と体調チェックの報告を保護者に求めるとしている。

宮城県(仙台市)

 宮城県では、県教委として一斉休校は求めず、地域の感染状況などに応じて、それぞれの県立高校で、空き教室を活用した3密対策や分散登校、短縮授業、オンラインの活用などを含めた対応を判断する。

 部活動は緊急事態宣言期間中は原則として自粛とするが、すでに9月中に全国大会につながる公式戦などが組まれていて変更ができない場合、感染防止対策を徹底した上で、1日1時間程度の校内での練習を認める。

 すでに多くの市立学校で授業が始まっている仙台市では、緊急事態宣言中も通常通りの学校運営を行う考え。市では夏までに学校の通信環境の整備を行い、各学校で端末を自宅に持ち帰る練習などを行っているという。

 一方で、県外への校外学習などは自粛とし、運動会や文化祭などは実施できるものの、学年ごとに分散して実施したり、プログラムを短縮したりするなどの見直しを求めている。部活動は県の方針に合わせ、宣言期間中は自粛する。

愛知県(名古屋市)

 感染者数が初めて2000人を超えるなど感染が急拡大している愛知県では、8月26日に県教委が県立学校の対応方針を通知した。県立学校ではすでに再開しているところもあるが、緊急事態宣言中は感染状況に応じて、時差登校や分散登校、臨時休校を検討し、併せてオンラインによる学習支援を進める。

 県立学校では、スタディサプリのオンデマンド動画などが見られるようになっており、臨時休校などでオンラインによる学習支援が必要になった場合は、生徒が所有するスマートフォンやタブレット端末などを活用して視聴してもらうほか、それが難しい場合は各学校に80台程度配備されているタブレット端末を貸し出すことも検討する。

 部活動については校内の活動のみとし、平日4日以内、各日90分以内の活動とする。修学旅行などの校外行事は、中止または延期とする。県教委は、各市町村教委にこの通知を参考にするよう求めたが、夏休みの延長などの判断は市町村に委ねている。

 また、同県は希望する高校生へのワクチン接種を加速させる方針を8月26日に発表。学校ごとにワクチン接種の希望を調査して取りまとめ、地域の基幹的病院や大規模集団接種会場などで接種を進める。教職員も対象とし、会場への移動手段としてはバスや大型タクシーの借り上げを予定している。

 大村秀章知事は8月26日の記者会見で、現在の準備状況について「地域の医療機関とのマッチングを調整している。医療機関の受け入れ態勢が整い次第、受験や就職を控える高校生を優先してワクチン接種を進める」と強調。「希望者の調査にあたっては、生徒間で同調圧力が生じないように配慮し、ワクチン接種の正確な情報に基づいて判断していただくように情報提供していく。希望がまとまったら学校教育活動とも調整を図りながら、平日の放課後や休日に接種できるようにする」と話し、学校再開後に順次、希望を確認する考えを示した。

 名古屋市では感染拡大に伴い、市立小中学校・特別支援学校で9月1日に始業式(午前のみ登校)を行った後は、9月2~12日を午前のみの短縮授業とする。給食は実施するほか、午後に自宅で過ごすことが困難な児童生徒は、平時の下校時刻までは教室で自主学習や読書などをして過ごせるようにする。

 部活動は県の指針も踏まえ、小学校は原則として中止、中学校は校内で平日4日以内の活動とし、公式戦などへの出場は慎重に検討する。修学旅行などの学校行事は中止または延期とする。

 名古屋市教委の担当者はこうした対応について「学びの保障と感染拡大防止の両立を図るための対応」と説明。名古屋市ではGIGAスクール構想での端末整備が7月末に完了したばかりで、市教委の担当者は「すぐにオンライン授業を進めることは難しいが、まずは家庭への持ち帰りと、接続のテストを早急に進めたい」と話している。

岐阜県

 岐阜県は8月19日に教育関係者なども出席した新型コロナウイルス感染症教育推進協議会で、夏休み明けから当面の間、県立高校でオンライン授業を実施し、生徒は原則として自宅で学習することとしている。

 オンライン授業を実施している間は、基本的に生徒は登校しないが、就職指導や不安を感じている生徒との面談などによる個別対応は認める。9月12日までは部活動は原則休止、学校行事も中止または延期とする。

 小中学校については、児童生徒の実情や地域の感染状況などを踏まえ、オンライン授業以外も含めた対策を各市町村で検討する。

三重県

 県内での児童生徒の感染拡大を受けて、三重県は8月25日、県立学校などに対し、9月12日までは分散登校とオンライン授業、またはプリント課題の配布などによる在宅学習の併用を求めた。学期始めの対面での指導が必要な場合は、分散登校や時差登校などを認めるほか、就職・進学指導、心のケアへの対応などの個別対応も行う。

 9月12日までに予定されている修学旅行や体育祭、文化祭などの学校行事は延期とし、部活動は公式戦についても延期や中止とし、全面的に行わない。

 また、9月4日から会期前実施競技がスタートする予定だった「第76回国民体育大会(三重とこわか国体)」なども、スポーツ庁や日本スポーツ協会と協議した上で、すでに中止が決まっている。

滋賀県

 滋賀県では、すでに県立学校で通常授業が再開している。県の担当者は「感染者は増えているが、10代以下の割合が顕著に増えている状況ではない」と話し、8月27日時点では文科省の方針に基づき、一斉休校は行わない考え。感染状況が悪化した場合は学校ごとに臨時休校、短縮授業、分散登校などの対応を検討する。

 臨時休校になった場合はオンラインを活用した学びについても検討するが、県の担当者は「高校では1人1台端末が整備されていないため、できる範囲で準備をしてもらうよう、学校に呼び掛けている状況」と明かす。

 部活動は緊急事態宣言の期限である9月12日まで原則中止とするが、全国・近畿大会および同予選、高体連・高文連などが主催の公式試合・コンクールに参加する場合は、大会初日の4週間前からの活動を認め、校内での2時間以内に限り、感染防止対策を徹底した上で実施可とする。修学旅行や文化祭などの学校行事は、準備も含めて中止または延期とする。こうした方針については、県内の市町村にも共有しているという。

岡山県(岡山市)

 すでに一部の県立学校で新学期が始まっている岡山県教委では8月25日、新たな方針を発表し、県立学校に対して時差通学を検討するように求めた。合唱など感染リスクの特に高い学習活動については、これまでの「慎重に検討する」から、「行わない」に切り替え警戒を強めた。感染不安などで登校できない生徒に対しては引き続き授業のオンライン配信の対応をとるほか、臨時休校になった場合はオンライン授業に切り替える。

 修学旅行は延期、運動会や文化祭などの学校行事は延期や中止、規模の縮小などで対応する方針。

 部活動は公式大会を控える部以外は原則中止。実施する場合もリスクの低い活動に切り替えたり、近距離での掛け声を禁止したりするなど、可能な限り感染対策を講じるように求めた。さらに部活動中や帰宅途中の飲食もなるべく避け、やむを得ない場合は席の配置や黙食を徹底するよう呼び掛けた。

 大半の市立学校で8月30日から2学期が始まる岡山市は、通常通り学校を再開する方針。一方で感染拡大による臨時休校も想定し、各学校でオンライン授業に対応できる環境の整備も進める。

 部活動は、公式戦に出場する部以外は原則休止。顧問の教員だけに委ねるのではなく、管理職も交え活動計画表などで実施の可否を判断するよう求めている。また宿泊を伴う校外行事や運動会などの校内行事も当面の間、延期または中止とする。

 市教委は8月26日付で、文科省のガイドラインを参考にした「新型コロナウイルス感染症予防のためのガイドライン 岡山市版」を公表。教職員についても児童生徒と同じく、基本的な感染症対策に加え、毎朝の検温や、風邪症状の確認など健康管理することを改めて求めた。さらに「教職員が休暇を取りやすい職場環境が重要」とし、教職員が急に出勤できなくなった場合を想定して、業務の情報共有や校務分掌の再確認をするよう呼び掛けている。

広島県(広島市)

 広島県教委は8月25日、県立学校に対し、感染防止対策を講じた上で通常通り、学校を再開する方針を示した。現時点で、短縮授業や分散登校などは実施しない。

 加えて文科省のガイドラインに基づいて策定した、校内で感染者が出た場合の対応を改めて整理。それによると、保健所が調査した接触者の広がりごとに▽同じクラスのみ 学級閉鎖▽同じ学年の複数クラス 学年閉鎖▽複数学年 臨時休校――などの対応を取る。

 オンライン授業については、随時対応できるよう準備を進める。県教委によると、特別支援学校を除く県立学校91校のうち、全学年でタブレット端末やモバイルルーターが配布されている学校は1校しかないため、課題となっている。

 また、感染不安により登校を控えている生徒や濃厚接触者に特定され自宅待機となった生徒など、さまざまなケースを踏まえた個別の対応についても、手だてを講じるという。

 部活動は原則中止。修学旅行など移動を伴う行事は延期する一方で、体育祭や文化祭などは専門家の意見を踏まえ、飲食など感染リスクの高い取り組みを止めた上で、実施することもできるとした。

 さらに県教委は、県内の小中学校のオンライン授業の支援にも着手。市町教委や小中学校の教職員らを対象に研修を実施するなど、県内全域で連携して児童生徒の学びの保障に努める。

 すでに市立学校の半分以上が2学期を迎えている広島市でも、県と同様、感染防止対策を徹底した上で通常の教育活動を継続させる。万が一、学校で感染者が出た場合は即時臨時休校に踏み切り、保健所の調査結果を踏まえ、随時再開させていく方針をとる。

 市教委の担当者は、「保健所もひっ迫していて、濃厚接触者の調査が数日にわたる可能性もある。感染者が出た場合は直ちに対応して、校内で感染を広げないことが大切だ」と話した。
 部活動は原則中止、学校行事も延期とする。

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