教職員定数改善6135人 文科省概算要求5兆9161億円

 文科省は8月30日、来年度予算案の概算要求を公表した。文部科学関係予算5兆9161億円のうち、文教関係予算は前年度から3643億円増え、4兆3859億円となった。小学校高学年での教科担任制による専科指導の充実や35人学級の推進などで計6135人の教職員定数の改善を図るほか、スクール・サポート・スタッフや中学校での部活動指導員など支援スタッフに288億円(前年度予算額184億円)など、教員の働き方改革に向けた学校現場の体制充実を求めた。GIGAスクール関連では、各自治体で1人1台端末の技術的なサポートを担うGIGAスクール運営支援センターの整備に新規で64億円、全国全ての小中学校に1教科分のデジタル教科書を提供する実証事業に57億円(同22億円)などを盛り込んだ。

 公立小中学校などの教職員の人件費となる義務教育費国庫負担金は1兆5147億円(前年度予算額1兆5164億円)。来年度から本格導入する小学校高学年への教科担任制に伴う基礎定数の改善は、4年間で段階的に8800人程度を見込む。このうち来年度は2000人の定数改善を図り、優先対象となっている外国語・理科・算数・体育の専科指導の充実を図る。政策課題に応じて加算する加配定数では、中学校における生徒指導や支援体制の強化など複雑化・困難化する教育課題への対応として475人を要求した。

 すでに法制化されている制度改革に伴う基礎定数の改善では、2025年度までに段階的に進める小学校全学年の35人学級への移行で、来年度は第3学年の学級編制標準を35人に引き下げるために3290人の改善を求めた。障害のある児童生徒への通級指導の充実などで370人を改善する。

 一方、児童生徒数の減少に伴い、教職員定数の自然減などで6912人の定数減を見込む。このため、来年度予算概算要求で6135人の定数改善を求めても、公立小中学校などの教職員数は、微減傾向が続くことになる。

 教員の働き方改革に向けた支援スタッフの充実では、前年度に続き、大幅な予算増を求める。学習プリントなどの準備や採点業務、来客・電話対応、消毒作業などをサポートする教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)の配置は、前年度の9600人から2万4300人に一気に増やす。教員を補佐して学力向上にあたる学習指導員は1万1000人から1万4100人に、中学校の部活動指導員は1万800人から1万1400人にそれぞれ拡充する。

 教員制度改革では、教員免許更新制に代わる新たな教員研修制度の導入に向けた取り組みを盛り込んだ。教員の研修履歴管理システムの構築に向けた調査研究(7500万円)や、外部人材の活用を促す研修プログラムの開発とワンポイントレッスン動画の提供(2512万円)、年間6000人いる全国の新任校長を対象にしたハイブリッド型研修(2000万円)を、それぞれ新規に予算要求した。

 わいせつ教員対策では、教育委員会や私立の学校法人が児童生徒への性暴力などによって教員免許が失効した情報を一覧できる「特定免許状失効者等データベース」の構築に、1億5000万円を盛り込んだ。児童生徒を支援する相談体制を充実させるため、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを増員する必要として97億8400万円(前年度予算額72億1600万円)を求めた。

 GIGAスクール関連では、1人1台端末の技術的なサポートなどを担う「GIGAスクール運営支援センター」を、各自治体に設置する費用として64億円を新規で要求。ヘルプデスクの開設やサポート対応、ネットワークアセスメントや応急対応など、学校からの依頼に応じて、より専門性の高い技術的支援を安定的に提供することを目指す。

 学習者用デジタル教科書については、2024年度からの本格導入に向け、来年度に全国全ての小学校と中学校で、1教科分のデジタル教科書を提供する実証事業を行う。今年度に全国の小中学校の約4割で実施している実証事業を拡大する。こうしたデジタル教科書の普及促進に57億円(前年度予算額22億円)を要求した。

 また、幼児教育関連でも、「幼児教育スタートプラン」の具体化に向け、大幅増となる209億円(同48億円)を盛り込んだ。その内容として、モデル地域での検証を通じた「幼保小の架け橋プログラム」の開発や改善に2億円を新規で要求。幼稚園のICT環境整備や感染症対策の支援事業に29億円(同14億円)、私立幼稚園の耐震化や預かり保育への対応など施設整備に13億円(同5億円)、認定こども園の施設整備に157億円(同25億円)などを求めている。

 学校現場での感染症対策への支援については事項要求となっており、予算編成の過程で追加される形になっている。政府は今後、総合経済対策を策定し、今年度補正予算を編成する見通しで、感染症対策は補正予算に盛り込まれるとみられる。

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