教育再生実行会議を廃止、後継会議を設置へ 文科相表明

 政府の教育再生実行会議は9月3日、これまで12次にわたる提言を受けた取り組み状況と課題をまとめたフォローアップ報告を公表した。これを受け、萩生田光一文科相は同日の閣議後会見で、教育再生実行会議について「今回の報告をもって、一区切りと考えている」と述べ、廃止されるとの見方を表明。その上で「総理のもとで教育や人材育成に関して議論する場は、今後も必要だと思っている」と話し、後継会議の設置について菅義偉首相の了承を得たことを明らかにした。教育再生実行会議は安倍晋三政権下で教育政策に政治主導を発揮する仕組みとして2013年1月に設置され、いじめ対策や教育委員会制度の改革、高等教育への給付型奨学金制度の創設など提言し、法改正や予算措置などを通じて実現されてきた。高大接続改革のように課題が残されている提言内容もあるが、今回のフォローアップ報告で役割を終えることなった。

教育再生実行会議は「一区切り」と説明する萩生田文科相

 萩生田文科相は、9月2日に菅首相と面会し、首相の下で教育や人材育成について議論する場が今後も必要だとの考えを伝え、「後継会議の在り方について了承いただいた」と説明。「今後しかるべき時期に、政府として同様の議論の場が設けられるものと考えている」と述べた。

 フォローアップ報告では、すでに法改正などによって実現した施策として、▽いじめ問題等への対応(第1次提言)▽教育委員会制度改革(第2次提言)▽大学ガバナンス改革と教育研究力の強化(第3次提言)▽義務教育学校の制度化(第5次提言)▽専門職大学・短期大学の制度化(第5次提言)、教師の養成・採用・研修の一体改革(第7次提言)、給付型奨学金の創設(第9次提言)--を挙げ、成果として強調した。

 課題として残された項目としては、大学入学共通テストの導入につながった第4次提言の高大接続改革を最初に挙げ、「高校までの学びと大学における学修とをいかにしてつなげていくか、その接続点である大学入学者選抜をいかに改革していくかについて、文科省のみならず、高校関係者、大学関係者が覚悟を持って取り組んでいただきたい」と、改革の続行を強く求めた。

 第8次提言で取り上げた、国家戦略としての教育投資については「幅広く国民的な議論を深めながら、世代を超えて社会全体で教育投資のための負担を分かち合うことの理解の醸成を進め、教育投資の充実に取り組むことに期待します」と記述。

 今年6月にまとめた第12次提言については「今後の教育の在り方について、集大成ともいうべき提言となった」と位置付け、「これからの時代は、一人一人の多様な幸せであるとともに、社会全体の幸せでもあるウェルビーイング(Wellbeing)の理念の実現を目指し、学習者主体の教育に転換することが重要」と指摘。その重要な手段として、「データ駆動型の教育」への転換を訴えた。こうした理念を学校現場に浸透させるために「ウェルビーイングについて適切な指標を設定して、その効果を検証するといった具体的な取り組み」の実施を求めた。

 萩生田文科相は、内閣官房に置かれた教育再生実行会議を活用し、政治主導で教育政策を推進する政策決定手法について、「例えば、40年ぶりに義務標準法を改正して小学校の40人学級を35人にした。これは教育再生実行会議の方向を受け、教育再生担当大臣である私が、政府の全体の意思として文部科学大臣に作業を指示したということだから、この手の会議は、あった方がいいのではないか」と、意義を説明。

 「(教育政策は)文科省の話に矮小(わいしょう)化されてしまうことがたくさんある。そうではなくて、政府全体で考えなければならないことがあると思うので、後継会議を立ち上げて、新たな役割を果たしていきたいと思っている」と述べ、今後も首相の下に教育政策を議論する会議を置き、政治主導で施策を進めることが望ましい、との考えを示した。

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