「私立×公立」で教員研修 校種や教科の枠を超えて開催

 私立と公立の垣根を超えて学校教育を見つめ直そう――。東京都中野区の新渡戸文化学園でこのほど、小中高の教員を対象とした公開教員研修が開催され、同学園の教員に加え、杉並区立杉並第十小学校や女子美術大学付属中高など、近隣の学校教員が参加した。

教員らと意見交換する中島氏(写真左)

 「『クリエイティビティ(創造力)』は誰にでもある」をテーマに、山内佑輔教諭とICTデザイナーの海老沢穣氏らが企画。STEAM教育者の中島さち子さんをゲストに迎えた。同学園が他校と合同で教員研修を開くのは初めてで、「私立と公立の枠組みを超えて、教員同士で学びを高め合いたい」という平岩国泰理事長らの思いから、実現に至ったという。

 研修会では「創造力」を切り口に、校種や教科の枠を超えて教員同士が語り合った。またチャットシステムを活用して、参加者同士がリアルタイムで、感想や質問をシェアできる環境で進行した。

 山内教諭は「教員は『創造力を高める』と聞くと、どうしても児童生徒を高めさせると捉えがち。しかし今日は、自分自身にフォーカスを当てて考えてほしい」と、それぞれの教員が当事者として取り組むように呼び掛けた。

 ゲストとして登壇した中島氏は、参加者からアートの定義を問われ、「新しい世界につながるような、新たな視点をつくることと捉えている。上手か下手かにとらわれることなく、どんな視点を伝えたいのかという思いが大切になってくる」と説明。さらに、その新たな視点を発信することが創造力につながるとし、「児童生徒も含め私たちは、学校の中でどんどんアウトプットできる機会を増やすべきだ」と強調した。

 参加者からの「自信を持てない児童生徒がいる」というコメントに対し、中島氏は「できなかったとしても、試行錯誤して少しずつうまく行ったときに感じられる喜びを知っている人が強い。教師である喜び、子供である喜びを感じられる環境が大切なのではないか」と語った。

 海老沢氏は専門である特別支援教育の取り組みで、障害がある児童生徒とアーティストがワークショップで学び合う事例を紹介。「実は教師もとらわれている。例えば身体を使って表現するシーンで、児童生徒に『とにかく動きなさい』と指導しがちだが、アーティストは『動かないことも表現』と子供のありのままを受け入れてくれる」とし、アーティストが児童生徒の創造性を引き出していた様子を振り返った。

 公立校から参加した教員の一人は、「とても楽しかったし、進行方法や内容も新鮮だった。チャット機能と併用しての進行だったので、自分の気持ちや意見を言いやすく、キーワードも整理しやすかった。内容についても、所属校の研修では児童生徒をテーマにしがちだが、自分自身を振り返ることができてよかった」と話した。

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