デジタル教科書の標準化フォーマット 文科省が早期作成へ

 2024年度からの本格導入を目指すデジタル教科書について、円滑な導入に向けた技術的な課題を検討する文科省のワーキンググループの第2回会合が9月3日、開かれた。この中で、デジタル教科書の利用開始時の登録手続きのフォーマットが教科書会社ごとに異なり、学校現場の負担が重いとして、文科省が登録項目を標準化したフォーマットを定めて学校などに提供する方針が示された。これに対し各委員からは、可能な限り登録項目を最小限にしてほしいなどと要望する声が上がった。

オンラインで開かれたデジタル教科書の技術的課題を検討するWG

 デジタル教科書を巡っては24年4月からの本格導入に向けて、文科省が今年度は小学5年生から中学3年生までを対象に全国の約4割の学校で、希望する1教科分を無償提供する実証事業をスタート。来年度はさらに拡充し、小学5年生から中学3年生に付属教材を含むデジタル教科書1教科分を無償提供するほか、小学校の重点校については1年生から4年生にも対象を広げる方針を決めている。

 3日のWGでは、文科省の担当者が教科書発行者などに行ったヒアリング結果と共に、デジタル教科書導入時の課題について説明。現状では教員などが教科書発行者ごとに異なるフォーマットで情報登録やライセンス登録をするなど、手続きが煩雑であることに触れた。その上で発行者へのヒアリングでは、フォーマットの統一化に向けて前向きな意見も多いことが紹介され、文科省として、登録項目を標準化したフォーマットを決めて公開し、学校などに提供したいとの方針が示された。

 これについて各委員が意見を述べ、片山敏郎委員(新潟市教委学校支援課副参事)は「できるだけ登録項目を絞り、できればIDとパスワードなど3つ程度にできればいいと考えている。学校現場ではGIGAスクール構想の業務だけで限界に近いという人もおり、デジタル教科書の管理面や機能面もできるだけシンプルにしてほしい」と要望を述べた。

 また、教科書会社へのヒアリングにも立ち会った大関正隆委員(教科書協会情報化専門委員会委員)は「総論として共通化に反対する会社はなかったと理解している。誰のための標準化と考えたとき、まず児童生徒や先生、次に管理者や教育委員会、業者などと考えられるが、現場の困りごとやニーズを把握しながら、丁寧に対応を考えていくべきだと思う」と述べた。

 また、会合では、デジタル教科書の導入にあたって学校現場から「ユーザー登録やライセンスの証明という概念が分からない」「CSV形式を扱ったことがないので分かりづらい」といった、基本的な問い合わせが多いという指摘もあり、「ユーザー登録の概念やその必要性について分かりやすくアナウンスするなど、ユーザーの理解を得ていくことが必要」という意見も出された。

 WGでは、デジタル教科書についてアカウント設定や登録など、初期設定の手順については今秋を目標に統一した仕様を定めたいとしており、文科省では標準化したフォーマットの作成を急ぐ方針。

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