生徒にワクチン接種したか聞く 教員の「不用意な行為」相次ぐ

 子どもへの新型コロナウイルスのワクチン接種が一部の自治体でも始まる中、教員が生徒に、ワクチン接種をしたかどうかを不用意に聞いてしまう事例が起きている。文科省では、ワクチンはあくまでも個人の判断で接種するものであり、さまざまな理由でワクチン接種ができない人や接種を望まない人もいるとして、差別や偏見につながらないような対応を求めている。

 奈良県五條市の市立中学校では、9月1日の始業式の後、2年生の各クラスの担任が、学年主任の指示により、生徒がワクチン接種をしたかどうかを挙手や個別に聞き取りしていたことが発覚した。同市では8月28日から12歳以上の子どもへのワクチン接種が始まっており、副作用による体調不良がないかや、今後予定されている職場体験学習などの学年行事で、外部から問い合わせがあった場合に対応できるように、把握しておきたかったという。これを受けて市教委は、9月3日に市内の小中学校に対し、人権に配慮した慎重な対応を行うよう、指導の徹底を通知した。

 また、愛知県犬山市は保護者からの指摘を受けて市内の小中学校に確認したところ、8月17日~9月6日の間に、市立中学校2校で計11人の教員が部活動や授業の中で、生徒がワクチン接種をしたかどうかを挙手で尋ねていたことが分かった。多くの場合、新型コロナウイルスのワクチン接種を話題にした際に、生徒から「自分はワクチンを接種した」という声が挙がったので、何気なくワクチンを打った生徒がどれくらいいるかを挙手で聞いてしまったという。犬山市教委の担当者は「ワクチンの有効性などを授業で触れるのは問題ないが、生徒に挙手をさせてしまったことについて、保護者に対し謝罪した。打ちたくても打てない人などもいるので、配慮が必要だ」と話す。

 この他にも、愛媛県八幡浜市の市立中学校で、秋に予定していた修学旅行に行く3年生に、無記名のアンケートでワクチン接種の状況について尋ねるなどの事例が、相次いで明らかとなっている。

8月20日付文科省通知「小学校、中学校及び高等学校等における新学期に向けた新型コロナウイルス感染症対策の徹底等について」より

 文科省では、新学期を迎えるにあたっての新型コロナウイルスに関する留意点をまとめた通知で、ワクチン接種はリスクとベネフィットを勘案し、児童生徒、保護者の意思で接種の判断を行うことが大切であるとし、さまざまな理由でワクチンを接種できない人や接種を望まない人もいることから、ワクチン接種をするかしないかの判断は尊重されるべきであると強調。これによる差別や偏見の防止を求めている。

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