「通信環境の基盤強化が必要」 学校教育の情報化で文科省会議

 GIGAスクール構想などを踏まえて「学校教育情報化推進計画」を策定する、文科省の専門家会議の初会合が9月9日、オンラインで開かれ、学校教育の情報化の課題について各委員が意見を述べた。多くの委員からはGIGAスクール構想のスタートに伴い、「ネットを快適に使えない状況に各地で遭遇している」「学校までのネット回線の帯域不足が露呈している」などと、通信環境の基盤整備の必要性を指摘する声が相次いだ。

オンラインで開かれた初会合を進行する金丸座長

 文科省の「学校教育情報化推進専門家会議」(座長・金丸恭文フューチャー代表取締役会長)は、2019年に成立した「学校教育の情報化の推進に関する法律」を受けて、具体的な推進計画を策定するために設置された。
 
 初会合となった9日は、初めに文科省が学校教育情報化の現状と課題について報告。OECD(経済協力開発機構)の生徒の学習到達度調査(PISA2018)で、テキストから情報を探し出す問題で日本の子供の正答率が低かったことや、学校の授業でのデジタル機器の利用時間が短く、OECD加盟国で最下位だったことなどを資料で示し、子供の情報活用能力の育成が必要だと説明した。
 
 こうした状況を踏まえて担当者は「学校教育情報化推進計画」の基本的な方針として、①ICTの特性を児童生徒の資質・能力の育成に最大限生かす②誰一人取り残すことなくICTの恵沢を享受できる環境を実現する③デジタル化や教育データの利活用を進め、校務や学習等を変革し教育の質を向上させる④安全にICTを活用できる基盤をつくる――という4つの柱をたたき台として示した。

 これに対して各委員がそれぞれの立場から、学校教育情報化の課題や意見を述べた。五十嵐俊子委員(東京都渋谷区教育長)は「ネットが快適に使えない現状に各地で遭遇しており、ICT基盤の整備が気になっている。『安全』は必要だが、まともに稼働するよう『快適』も加えてほしい」と述べた。

 橋本幸三委員(京都府教育長)は「基本的な動きはGIGAスクール構想で先行しており、後戻りすることがないよう、今後3年程度の基本的方向性を示すべきだ。ネットワーク整備やハード整備は教育現場だけではできず、国を挙げた大きな取り組みが必要で、自治体の財政力で格差が生じない手だてを考えてほしい」と述べた。

 堀田龍也委員(東北大学大学院情報科学研究科教授)は「学校までのネット回線の帯域不足が露呈している。設置者の努力も必要だが、大学などが使うSINET(サイネット、高速ネットワーク)の拡張なども含めてネットワーク基盤を強化しないと、全国津々浦々の子供たちの学習に支障を来たす恐れがある。また、情報活用能力の徹底的な育成に向けては、探究できる人を育てるために授業の改善も必要になってくる」と強調した。

 各委員からの意見を受けて金丸座長は「10年近く前にICT先進国のデンマークを視察した際、何のためのICT整備かを聞いたら、『子供たちの将来の国際競争力のため』と言われた。ライフスタイルの中にデジタルは広く浸透している。共通する問題意識として通信環境が挙がったので、集中的に取り上げて解決方法を見いだしたい」と話した。

 同会議は、今年度中の計画策定を目指す。

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