【デルタ株危機】行動制限の緩和「学校は慎重に」 文科相表明

 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が、ワクチン接種の進展に合わせ、緊急事態宣言の対象地域でも、県境をまたいだ移動の自粛など行動制限を緩和する考えを示したことについて、萩生田光一文科相は9月10日の閣議後会見で、児童生徒にワクチン接種を促す圧力がかかったり、検査費用の負担が発生したりする恐れがあることを理由に、「学校の教育活動への適用は、慎重であるべきだ」との考えを表明した。一連の行動制限の緩和は「成人の学生を対象にした話」と説明、小中学校や高校には直接関係はないとの見方を示した。

行動制限の緩和策について説明する萩生田文科相

 政府は9日の対策本部で、ワクチンを接種した人や検査で陰性が確認された人など、他の人に感染させるリスクが低いことを示す「ワクチン・検査パッケージ」という仕組みを活用し、日常生活を回復させていく考え方を決定した。それによると、ワクチン・検査パッケージを利用すれば、緊急事態宣言の対象地域であっても、▽飲食店の営業時間、酒類提供、会食の人数制限などを緩和▽イベントの人数制限緩和を検討▽県境をまたぐ移動を自粛の対象にしないなど移動制限を緩和▽大学などの部活動や課外活動における感染リスクの高い活動も原則可能--としている。

 萩生田文科相は、人の移動制限の緩和が示されたことを受け、「今後、部活動の全国大会や修学旅行など県をまたぐ移動を伴う学校活動は、こうした考え方の影響が及ぶ可能性も考えられる」とした上で、修学旅行について「そもそも不要不急の外出だと思っていない。当然やるべきものだ」と指摘。修学旅行はもともと移動制限の対象ではないので、学校の教育活動としてコロナ禍であっても、感染対策をしながら実施すべきだという、従来の考えを改めて強調した。

 対策本部が決定した考え方については、「大きな考え方の中では、大学生や高校生などのサークルのように、今は自粛傾向にあるものが、みんながワクチンを打てば、移動しやすくなる世の中ができますよ、という将来へのメッセージを示したもの」と説明。「この方針が直ちに修学旅行や、スポーツの大会などにも影響を及ぼすことになると、かえって間違ったメッセージになる。『(ワクチンを)打っていない生徒は出てはいけないのか』ということに当然なる」と述べ、対策本部の決定が小中学校や高校の学校教育活動には直接影響を与えることはない、との見方を示した。

 その理由として、萩生田文科相は「緩和の対象がワクチンを受けた者等とされているため、これがそのまま適用されれば、児童生徒にワクチン接種の圧力がかかったり、あるいは検査費用の負担が発生したりするなどの恐れが生じる。そのため、こうした制限緩和を学校の教育活動に直ちに適用することには慎重であるべきだ。このことは、これを発表する前から内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室に申し上げてきた」と、政府内部の調整過程を説明。対策本部の考え方は「成人の学生などを対象にした話だと受け止めていただいていい」と述べた。

 同時に、小中学校や高校のコロナ対策については、これまで改訂を重ねてきた『学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル』に基づいて対応していく考えを改めて示した。

関連記事