コミュニティ・スクール 高校や特支学校の導入例を報告

 コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の導入促進などを議論している文科省の検討会議(座長・松田恵示東京学芸大学理事・副学長)の第5回会合が9月10日開かれ、高校や幼稚園、特別支援学校で積極的に導入している事例が報告された。小中学校に比べて「地域」とのつながりが薄い中、児童生徒と地域の双方にメリットを生む形で、工夫しながらコミュニティ・スクールを運営する様子が紹介された。

オンラインで開かれた文科省のコミュニティ・スクール検討会議

 和歌山県教委生涯学習課の田中いずみ課長は、県内の全公立学校への導入を目指し、県内全ての30市町村を訪問して、高校と地域のつながりの必要を訴えた活動を報告。校長から「小中学校は分かりやすいが、高校では地域をどう捉えたらいいのか」と質問され、「校長がどんな学校を作りたいかによって、地域の捉え方は変わる」と答えたことを説明。職業学科がある高校では地元の産業と結び付けるなど、高校生が外部とのつながりを通じて成長できる形でコミュニティ・スクールの導入を進めたことを明かした。

 また、神奈川県立あおば支援学校の横澤孝泰校長は、比較的広いエリアから児童生徒が集まる特別支援学校で、地域との連携をどう捉えるかについて県教委で議論した経緯を語り、文化祭や地域イベントで交流する例を踏まえ、学校の状況や特性に応じてコミュニティ・スクールの在り方を考えたことを説明。同校では、「ともに生きる社会の実現を目指す」ことなどをコンセプトに、自治会や近隣の小中学校、社会福祉法人など幅広い層から運営協議会の委員を人選し、生徒たちの卒業後も見据えて地域と連携した学校作りを目指していることを報告した。

 幼小中の一貫教育に力を入れている静岡県袋井市教委の深谷初女さんは、市内の幼稚園15園全てにコミュニティ・スクールを導入した経緯を報告。運営協議会の委員を幼稚園と小中学校で併任したり、幼稚園のスタッフが小中学校の運営協議会に参加したりと、地域の子供を育てるという視点で幼稚園と学校のつながりを強化する形で運営し、相乗効果が生まれていると説明した。

 会合では、こうした報告を踏まえて各委員が意見を述べ、菅野祐太委員(認定NPO法人カタリバディレクター)は「高校で探究的な学習を進める上でも外部機関との連携は不可欠。高校では学科などの形態や立地環境でコミュニティーの協働体制はさまざまであり、エリア(地域)とテーマ(特色)の双方の側面を生かした協働体制づくりを考えるべきだ」と提案した。

 また、増渕広美委員(神奈川県立総合教育センター教育相談専門員)は「和歌山県のように地域や学校と伴走する体制をとれば、導入はかなり進むのではないか。社会に出る一つ手前の高校生の学びの場を意図的に広げることは好事例であり、こうした運営を広げてほしい」と述べた。

 コミュニティ・スクールを導入している公立学校は、昨年7月1日時点で全体の27.2%に当たる9788校。校種別に見ると▽幼稚園 237園▽小学校 5884校▽中学校 2721校▽高校 668校▽特別支援学校 199校――などとなっている。

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