生徒がビジネス課題に挑む グローバル・ティーチャーが講師

 教育界のノーベル賞といわれる「グローバル・ティーチャー賞2020」のトップ50に選出された、品川女子学院中等部・高等部の元教諭の竹内啓悟氏が主催する、小中高生対象のキャリアスクール「ジュニア・ビジネス・アカデミー」がこのほど、オンラインで3日間にわたり開催され、抽選で選ばれた全国の児童生徒61人が参加した。連携する企業が実際に直面する経営課題をテーマに、参加者はワークショップを通して、課題解決に向けて試行錯誤した。

 初日は中高生16人がZoomに集い、実在するグランピング施設の新しいアクティビティ(活動)を開発するミッションに挑んだ。

当日は学生スタッフが全国から参加する中高生をサポートした

 プログラムの所要時間はおよそ3時間。事前に郵送されたオリジナルのテキストを活用しながら、参加者はブレイクアウトルーム機能で4人ずつのグループに分かれ、4つのワークショップを体験した。学生スタッフのサポートを受けながら、自分の意見をアウトプットする技術を磨いたり、新しい発想を促す思考法を体験したりなど、初めて出会う生徒同士がオンライン上で刺激し合いながら学びを深めた。

 まず、フランクに意見を交わし合う「ブレスト」にチャレンジ。「グランピング施設にあれば面白いもの」をテーマに、生徒はグーグルジャムボードを使いながら、思いついたアイデアを共有し合った。講師を務めた竹内氏からは、「他の人の意見を否定しない、とにかく数を出すことがルール。誰かのアイデアに乗っかって、そのレパートリーを増やしてみるのもいい」などとアドバイスがあった。

 ジャムボードに慣れていない生徒もいたが、その都度スタッフが丁寧にレクチャー。「猫カフェ」「写真映えのスポット」「屋外シアター」「カレー作り」など、開始5分でボードはたくさんのアイデアで彩られた。

 多くの企業でも実際に行われている、ターゲットをより具体化させるペルソナの設定や、ユーザーに与える利用価値UX(ユーザーエクスペリエンス)を考える作業にも取り組んだ。グループ内で発表すると、スタッフやチームメートから「それはどんな人?」「もっと具体的にいうとどんな感じかな?」などと質問が投げ掛けられ、参加者同士で対話を重ねながら本質に迫っていく学びが展開された。

 さらに、斬新なアイデアを生み出す訓練になる「組み合わせ発想法」にも挑戦。無関係な2つのキーワードを組み合わせて、そのワードについて自分なりに説明する。普段とは違った思考を試みることで、新たな視点に気付きやすくなるという。

 生徒からは「最高にエモいPTA」「重すぎる蛍光ペン」「全米が泣いた中2病」など、ユニークな組み合わせの単語が飛び出した。「なかなかイメージが湧かない」と苦慮する声も聞かれたが、生徒たちが自分なりの解釈を絞り出すと、講師やスタッフから感嘆の声が漏れるなど大いに盛り上がった。

 最後に4つのワークショップの実践や思考、生まれたアイデアを生かして、一人一人が考えた「新しいアクティビティ」について、企業に向けてプレゼンした。

講師を務めた竹内氏

 優秀賞に輝いたのは札幌市在住の中学1年生、丸山愛奈さん。「ただただ絵具まみれ」と名付けた、室内体験型の施設を提案した。色とりどりの絵具を使って壁や床にペイントするなど思いきり遊べる空間で、ユーザーは中高生を想定。利用者が残したイラストや絵の具跡はあえてそのまま残し、デザインの一部として取り入れるところがポイント。丸山さんは「暑い夏や寒い冬でも屋内なので楽しめる。私のようにお小遣いの中でやりくりしている中高生が、手軽に使える場所になればうれしい」と狙いを説明した。

 その他にも、人気テレビ番組『SASUKE』にインスパイアされた、友人同士が助け合いながら取り組むアスレチック「TASUKE」や、高校生や大学生が進路や夢について語り合う場所「私の未来を探しに行こう」など、10代だからこそのアイデアが次々と披露された。序盤は戸惑う場面もあった生徒たちだが、ペルソナの設定やUXの分析を丁寧に行っており、企業の担当者も驚く出来栄えだった。

 同アカデミーは第2弾が計画されている。運営するSEKAISHAは「一人一人が夢中になれる『じぶんのものさし』をつくる」をテーマに、児童生徒向けの個性的なキャリア教育プログラムなどを提供している。

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