「学びの時間軸の多様性認める環境を」 教育・人材育成WG

 子供たちが探究力を身に付けるための教育や人材育成に向けた具体策を検討するため、文科省など3府省で作るワーキンググループ(WG)の初会合が9月16日、内閣府で開かれた。学びの「時間」に論点を絞って議論が交わされ、各委員からは「生徒の10年後や20年後も見据えて、教育課程をつくることが必要だ」「学びの早い遅いはあるが、子供の多様な時間軸も受け入れられる環境を作ることも大事ではないか」などと意見が上がった。

3府省で組織されたWGの初会合

 同会議は、Society5.0時代に向けた子供たちの探究力の育成やSTEAM教育の推進に向けた具体策を検討するため、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議と文科省の中教審、経産省の産業構造審議会の委員らで組織。8月に開かれたキックオフミーティングで、時間と人材、財源といったリソースに分けて検討を進める方向性が示されたことを受けて、初会合では「時間」の確保や再配分について議論が交わされた。

 はじめに事務局から主な論点として、①子供の特性を踏まえたオルタナティブな学びの場の提供②デジタル社会の進展を踏まえたデジタルコンテンツの活用③教科の本質を踏まえた教育内容の重点化など④探究力など新しく求められる力の評価手法の確立⑤文理のリバランス、文理分断からの脱却――が示され、各委員が意見を述べた。

 秋田喜代美委員(学習院大学文学部教授)は「国際的に授業時間数が多ければ学力が上がるわけではないという実証的なデータが示され、限られた時間でいかに質の高い学びをするかが問われている。社会の要求を受けてどんどん詰め込まれるカリキュラムオーバーということも言われており、教科横断や総合的な学習の時間をうまく活用するとともに、個々の子供に応じたカリキュラムの在り方を考えることも必要だ」と指摘した。

 中教審副会長の荒瀬克己委員(教職員支援機構理事長)は「論点で指摘されていることは実は新学習指導要領に相当盛り込まれているが、学校現場で着実な実施が進まないところに大きな課題がある。時間ということでいえば、多様な生き方をしていく生徒たちのために10年後や20年後も見据えて、指導要領を読み解いて各学校で具体的な教育課程をつくっていくことが必要だ」と述べた。

 岩本悠委員(一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事)は「小中高大まで見据えたSTEAM教育のエコシステムを、社会全体でどう構築していくかという視点で見ることも必要だ。例えばスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定高校を、地域の拠点として小中学生にアウトリーチさせることなどを考えてはどうか」と提案した。

 こうした意見を踏まえて、座長を務める藤井輝夫委員(東京大学総長)は「各委員の意見を聞いて、早く進む子もゆっくり進む子もいるという学びの時間軸の多様性を、われわれ全体が受け入れる環境づくりが大事だと思った。また、未来をつくる子供たちがいかにサイバー空間で生きやすい世界にしていくかについても、議論していく必要があると感じた」と述べた。

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