「ここ一番の政策で譲らない文科省になる」 新次官あいさつ

 文科省で新旧次官の交代に伴うあいさつ式が9月21日、同省内で行われ、義本博司新次官は、喫緊の課題として、GIGAスクール構想と連動した教育のソフトとハードを一体化した改革、研究基盤の構築、文化行政の強化、オリンピック・パラリンピックのレガシーを発展させたスポーツの環境整備を列挙。「文科省は未来の創造に関わる役所であり、われわれの行政の先には多数の教師、研究者、アスリート、芸術家がいる。さらには学ぶ子供たち、若者、それを支える保護者がいる。現場に寄り添う文科省でなければならないし、ここ一番の政策で譲らない、文科省で有り続ける必要がある」と抱負を述べた。

退任のあいさつを終え、花束を受け取る藤原次官

 あいさつ式で、2年11カ月の任期を終えた藤原誠次官は、橋本政権の省庁再編、小泉政権の三位一体改革、組織的な再就職あっせん問題や局長級幹部による収賄事件など一連の不祥事などを回顧。会場に集まった幹部職員に対して「不祥事を起こなさないでください、とお願いしたい」と最後の訓示を行った。さらに義本新次官を「不祥事で一緒に処分を受けた“処分仲間”」と紹介し、「最近の文科省は非常にいい方向にいっていると思う。新次官の下で、その流れを継続してほしい」と述べ、文科省の信頼回復が任期中最大の課題だったことを印象付けた。

 続いて壇上に立った義本新次官はあいさつの冒頭、「3年前、藤原次官の就任時には、文科省は不祥事に見舞われて、国民の信頼が大きく揺らぐ事態に直面していた。法令順守と信頼回復のために、職員一人一人が地道な努力を重ね、今日に至っている。省内の改革はまだ途上だが、ようやく政策に専念できる環境ができてきた」と切り出した。「組織は不祥事に見舞われるともろい。政策が停滞し、国民に迷惑をかける。それを考えれば、しっかり政策を進めていくこと自体が、本当に大事だと身に染みて感じている」と続け、信頼回復の重要性を強調した。

あいさつする義本新次官

 次に、最近の文科省について、「41年ぶりに35人学級実現した。GIGAスクール構想、大学の10兆円ファンドの創設など、未来を切り開く新たな政策が実現している。未曽有のコロナ禍にあっても、学びや活動を可能な限り止めない、さまざまな取り組みが現在も続いている」と自己評価。

 「この改革のレールをしっかり歩いて行く。喫緊の課題は山積しているが、着実に取り組んでいくことがわれわれに求められている」と指摘。具体的な課題として▽GIGAスクール構想と連動した教育のソフトとハードを一体化した改革▽研究基盤の構築▽文化行政の強化▽オリンピック・パラリンピックのレガシーを発展させたスポーツの環境整備――を挙げた。

 その上で、「文科省は未来の創造に関わる役所であり、われわれの行政の先には多数の教師、研究者、アスリート、芸術家がいる。さらには学ぶ子供たち、若者、それを支える保護者がいる。国民の期待に応える行政運営や政策の推進、そのための予算確保や制度の改革にしっかりと進んでいかなければならない」と強調。

 「アンテナを高く、広い視野で現場の信頼関係を構築して、現場に寄り添う文科省でなければならない。同時に、萩生田大臣も常に言っているように、ここ一番の政策で譲らない文科省であり続ける必要がある。そのためには、職員一人一人が行政のプロとして現場への共感、あるいはエビデンスを基に政策をしっかり練り上げて、正々堂々と関係者に働き掛ける。さまざまなエネルギーを結集して政策を実現していくことを続けなければならない」と、言葉に力を込めた。

 最後に幹部職員に対して、「組織の力を高めるには、若手や中堅職員の力を引き出していくことが非常に大事になってくる。そのために若手や中堅職員の成長につながるような、仕事の進め方をしてほしい」と注文を付けた。

 文科省の幹部人事は、通常の場合、予算編成が本格化する前の7月に行われることが多いが、今年は東京五輪・パラリンピックなどがあり、9月にずれ込む形になった。

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