「自殺ゼロ」「データ一元化」 総裁選4候補がこども政策アピール

 子供関連の施策を総合的に扱う新しい行政組織「こども庁」の創設などを巡り、自民党総裁選挙に立候補している4人による討論会が9月22日、衆議院議員会館で開かれた。「こども庁」創設を目指す自民党の議員有志らの主催で、4人の候補(1人はビデオメッセージ)は、それぞれ「こども政策」について、「子供の自殺と虐待死ゼロを目指す」「子供のデータ一元化を進める」「包括的な支援制度を整える」「国家戦略として少子化対策に取り組む」などと具体的な政策をアピールした。

 討論会は、「こども庁」の創設を目指す自民党の議員有志の呼び掛けで開かれ、自民党総裁選に立候補している4人のうち、河野太郎・行政改革担当相と岸田文雄・前政調会長、野田聖子・幹事長代行が出席した。高市早苗・前総務相はビデオメッセージの形で参加した。

「こども庁」創設への地方議員の要望書を手にする自民党総裁選候補ら

 会合では、はじめに地方議員427人による「こども庁の設置を求める要望書」が各候補に手渡された。要望書は、専任の大臣の下で強い権限を持って子供・子育て政策を一元的に所管する「こども庁」の設置を求める内容で、これを受けて各候補が7分間ずつ、「こども政策」の具体的な取り組みについて所見を述べた。

 河野太郎氏は「河野政権ができてこども庁を作るとなったら、まず目標として子供の自殺と虐待死ゼロ、そして子供の貧困ゼロ、これを明確に掲げて実現していく」と強調。そして「それを実現するためにデジタルの力をしっかり活用していくことを考えたい。子供に関する教育のデータや健康診断のデータ、あるいは家族のデータなどをしっかりと連携させ、起きてからではなく事前に手を差し伸べることが大事だ」と述べた。さらにオンライン教育の実現でどこでも学べる環境を作ることができることで、不登校の児童生徒なども含めてさまざまな選択肢が広がったとして、「デジタルの力で子供を守っていくことが大事だ」と訴えた。

 岸田文雄氏は、各省庁の縦割りの壁を打破する1つのカギがデータの一元化だと強調した上で、「妊娠前から出産、乳幼児期、学童など、成長の過程をたどっていく中での支援についてどこが責任を持つか、しっかり考えていかなければならない」と述べた。また、東京都町田市で女児が自死したことなどに触れて、「痛ましいことであり、改めて子供たちの命、健康、人権を一元的にしっかり見ていくこども庁という組織の大切さを感じている」と述べるとともに、「総裁選挙で示した政策集には、子供や家庭に対する教育費や住居費の支援、幼保小の連携、学童保育の充実を盛り込んだ。こども庁設置も含めて、しっかり取り組みたい」と語った。

 高市早苗氏は、ビデオメッセージの中で、「子供を産み育てやすい環境づくり、健やかに安心して育つことができる環境づくり、誰一人取り残さない、困難を抱える子供への支援の3つが重要と考えている」と強調。その上で「子供や保護者が抱える課題は複合的であり、個々の課題が複雑に絡み合っていることから包括的な支援制度を整えることが必要だ」と訴えた。また、こども庁という文言は使わず、「総裁選で令和の省庁再編に挑戦すると約束した。子供政策を推進するため、最も効率的かつ効果的な組織は何かということを検討したい」と語った。

 野田聖子・幹事長代行は「子供というと母子福祉といわれる壁があったが、2005年に記した本で、子供のための新しい行政機関を作って、抜本的な少子化対策に、国家の戦略として取り組むべきだと訴えてきた」と、長年にわたってこども政策の充実を主張してきたことを紹介。その上で自殺や児童虐待で亡くなる児童が増えているとのデータを示し、「単に産み育てるだけでなく子供の社会問題を通じて、そこに関わる大人の社会を変えていく、こどもまんなかの政策で、苦しみから1人でも多くの人が抜け出せる社会を作りたい」と訴えた。

 いわゆる「こども庁」創設を巡っては、政府が6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)の中で、「子供に関するさまざまな課題に総合的に対応するため」として、新たな行政組織の創設が明記された。これを受けて、内閣官房に「こども政策推進体制検討チーム」が発足したほか、今月には政府の有識者会議も設置され、「こども政策」の基本理念や方向性について年内に取りまとめる方針を示している。

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