そっこう帰る、「気にならない」6割超 国語世論調査

 文化庁は9月24日、2020(令和2)年度「国語に関する世論調査」の結果を公表した。それによると、副詞的に使われる新しい言葉「そっこう帰る」「じみに痛い」「めっちゃおいしい」を、「気にならない」と答えた人が6割以上に上り、特に若者で抵抗感が小さかった。またコロナ禍で登場した語については、「ステイホーム」「ソーシャルディスタンス」などが若者を中心に許容される傾向がある一方、「ウィズコロナ」など全年代で抵抗感が大きいものもあった。

 今回の調査では、新しい言葉のうち「そっこう帰る(すぐ帰る)」「じみに痛い(騒ぐほどではないが確かに痛い)」「めっちゃおいしい(とてもおいしい)」「鬼かわいい(とてもかわいい)」「まるっとわかる(そっくり全部わかる)」の抵抗感を尋ねた。その結果「めっちゃおいしい」は8割以上、「そっこう帰る」「じみに痛い」は6割以上が「気にならない」と答え、年齢別に見るといずれも若年層で「気にならない」の割合が高かった。

気になる言葉・年齢別(出所:文化庁「令和2年度 国語に関する世論調査」報告書)

 「鬼かわいい」は年齢が低いほど抵抗感が下がり、10代後半では47.9%、20代では44.5%と、半数近くが「気にならない」と答えた。また「まるっとわかる」という表現が「気にならない」と答えた割合は20~40代で他の年代より高く、4割台に上った。

 一方でこれらの言葉を自分で使うことがあるかを尋ねると、いずれも「気にならない」と答えた割合より20ポイント以上低くなっており、「人が使うのを聞くことは気にならないが、自分が使うとなるとその割合は下がるという傾向が全体としてあった」(文化庁国語課の柳澤好治課長)。

 今回の調査では、コロナ禍で使われるようになった新たな言葉の抵抗感についても尋ねた。「不要不急」「コロナ禍」「3密」「ステイホーム」については6割以上が「そのまま使うのがよい」と肯定的な意見を寄せた。一方、「ソーシャルディスタンス」「ステイホーム」「クラスター」「ウィズコロナ」といったカタカナ語は、年齢が上がるほど、そのまま使うことへの抵抗感が強くなる傾向があった。

 とりわけ「ウィズコロナ」は全年代で抵抗感が比較的強く、文化庁国語課の武田康宏国語調査官は「概念や考え方を示した語で、ステイホームなどと違いイメージが湧くきにくい。このように、中身を説明しないと伝わらない言葉については留意が必要だ」と話した。

言葉の使われ方の印象(出所:文化庁「令和2年度 国語に関する世論調査」報告書)

 武田国語調査官は「これ以外にも職域接種、人流、ロックダウンなど、聞くことが少なかった言葉が一気に入ってきた。これほどいっぺんに、いろんな言葉が日常生活で交わされるようになるのはまれな事態。言葉という意味では特別な時期だといえる」と分析する。

 さらに今回の調査では、コロナ禍での生活の変化とコミュニケーションに関する質問も盛り込んだ。マスク着用によるコミュニケーションの変化を感じている人の中では、「声の大きさに気を付けるようになる」(74.1%)、「はっきりとした発音で話すようになる」(57.5%)、「相手との距離に気を付けるようになる」(45.1%)などの変化が上位に挙がった。

 また、ビデオ通話やウェブ会議、オンライン授業などの経験がある人の中で、その際に気を付けている点は「自分が話すタイミングに気を付けるようにしている」(58.4%)、「はっきりとした発音で話すようにしている」(53.6%)、「映り具合や音量の設定などに気を付けるようにしている」(48.3%)などが高かった。

 同調査は文化庁が1995(平成7)年から毎年実施しているもので、今回は2021年3月4~29日に実施。感染症対策のため、調査方法を面接から郵送に変更した。全国16歳以上の個人を対象とし、有効回収数は3794人(有効回収率63.2%)。

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