【全国学力調査】授業アイデア集を公表 端末活用例も

 国立教育政策研究所は9月22日、今年度の全国学力・学習状況調査の結果を踏まえ、課題がみられた問題に着目して授業改善につなげる「全国学力・学習状況調査授業アイディア例」を公表した。出題された科目ごとに、学習過程の一部に焦点を当ててピンポイントで改善・充実につなげる事例(タイプS)と、数時間にわたる学習の中で改善・充実を図る事例(タイプL)に分けて紹介。一部の事例はGIGAスクール端末などICTの利活用も意識した。

小学校国語・算数

 小学校国語で提示されている授業アイデア例は①私たちにできるSDGsを提案しよう~資料を活用するなどして、自分の考えが伝わるように表現を工夫する~②自分の考えを主張する文章を書こう~目的や意図に応じて、自分の考えを支える理由や事例を明確にして詳しく書く~③便利な道具の仕組みや作り方について調べて報告しよう~目的に応じて、文章と図表などを結び付けて必要な情報を見つけながら読む~――の3つで、全てタイプLとなっている。

 このうち②では、目的や意図に応じて自分の考えが他の人に伝わるように書くことに課題がみられた全国学力調査の大問3の二(正答率56.7%)を受けて、学級での過ごし方について、自分の主張を文章化する場面を題材にした授業を提案。どのような構成にすると主張が強調されるかを、実際の全国学力調査の問題を活用して考えさせたり、下書きに対し、さらにどんな理由や事例を詳しくするとよいかを検討させたりする。このとき、自分の考えが妥当な理由や客観的な事実によって裏付けられているかを、友達と互いに確認し合うことが効果的だと指摘している。

 算数は①どちらが速いかを判断しよう~除法の式と商の意味を理解し、表現する~(タイプS)②統計的な問題解決の方法で考えよう~結論からさらなる問題を見いだし、計画を立てる(タイプL)③小数を用いた倍の意味を説明しよう~基準量や小数の仕組みに着目し、図を用いて倍の意味を考える~(タイプS)――の3つを取り上げている。

 このうち③は、小数や分数の乗法・除法の単元の中で、小数を用いた倍の数について、図などに表して、基準量を1としたときに比較量がいくつに当たるかを倍の意味と捉え直す学習。「60センチ、72センチ、90センチのテープはそれぞれ30センチのテープの何倍になるか」という教師の発問を踏まえ、子どもたちが説明をする展開で、72センチは30センチの2.4倍であることを、数直線を使って視覚的に理解させる。その上で、18センチなど、テープが基準の30センチよりも短いときも0.6倍などと表現できることに気付かせる。全国学力調査の大問4(3)では、30メートルを1としたときに12メートルが0.4に当たる理由を書かせ、正答率が51.6%だった。

基準量や小数の仕組みに着目し、図を用いて倍の意味を考える授業アイデア例
中学校国語・数学

 中学校国語では①動画を用いて話し合いの中の自分の発言を振り返る~話題や展開を捉えながら話し合い、互いの発言を結び付けて考えをまとめる~(タイプL)②読み手の立場に立って文章を整えよう~表現の効果などを確かめて、読みやすく分かりやすい文章にする~(タイプL)③叙述を根拠に自分の考えを持つ「吾輩は猫である」を読む~(タイプS・L)――の3つの授業例を挙げた。このうち①と②では、ICTを活用した展開についても解説を設けている。

 夏目漱石の「吾輩は猫である」で、「吾輩」が別のネコである「黒」をどのように評価し、どう接しているかや、その接し方をどう思うか、自分の考えを書かせる大問3の四(正答率20.8%)を受けて、実際に全国学力調査で出題された「吾輩は猫である」の文章の一部を読解。課題がみられた解答例の一つである「『吾輩』は『黒』を少し見下して接している。このような接し方は相手に失礼だと思う」について、具体的に文章の中のどの叙述が根拠になるかをグループで話し合わせる。

 さらにこの後、第2時以降で「吾輩は猫である」の別の場面を各自で読み、叙述を根拠に自分の考えをノートにまとめ、グループでお互いにコメントを書く活動に発展させることで、タイプLにもなると提案。また、このとき、GIGAスクール端末のワープロソフトにあるコメント機能を活用することも考えられるとしている。

「吾輩は猫である」から、叙述を根拠に自分の考えをまとめる活動を提案した授業アイデア

 数学は①四角で囲んだ4つの数の和の性質を見つけよう~説明を振り返り、統合的・発展的に考察する~(タイプL)②2分をはかる砂時計を作るために必要な砂の重さを予想しよう~2つの数量の関係を比例とみなして数学的に考察する~(タイプS)③三角定規を重ねると、どんな四角形ができるか考えよう~図形を動的に観察することを通して、見いだした事柄を数学的に表現する~(タイプL)――の3つ。

 このうち②は、与えられた表やグラフを用いて、2分を測るために必要な砂の重さを求める方法を説明する全国学力調査の大問7(2)で、正答率が28.2%だったことを踏まえたもので、実際に2分間スピーチを行うためにペットボトルで砂時計を作成し、砂の重さを決めて、そのときに砂が落ち切るまでの時間について実験をしながら、砂の重さと砂が落ち切るまでの時間を表に整理。グラフから両者の関係が比例しているとみなして、2分を測るのに必要な砂の重さを求める方法を考える。

 「全国学力・学習状況調査授業アイディア例」は同研究所ホームページで公開されている。近日中に印刷された冊子が全国の小中学校にも配布される。

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