学校ICT「利活用のフェーズ」 文科相、初中局再編を説明

 今年4月に全国の小中学生に対する1人1台端末の整備を本格化させてから半年が経過し、萩生田光一文科相は9月24日の閣議後会見で、「GIGAスクール構想は環境整備から、利活用を促進するフェーズに移行している」と述べ、今後、教育指導面での支援活動を強化していく考えを表明した。同時に「学校の情報環境が飛躍的に進展し、学校教育の制度や運用全般に、これまでにない変化をもたらしている」として、10月1日付で小中高などを所管する初等中等教育局の組織再編を行い、局全体で学校のICT活用に取り組む方針を説明。「国全体で利活用のスタンダードを高めていくことが極めて必要だと思う」と、学校におけるICT活用をさらに促進していく考えを強調した。

GIGAスクール構想への取り組みを説明する萩生田光一文科相

 萩生田文科相はまず、GIGAスクール構想の進展状況について「1人1台端末の整備については、おおむね全国の小中学校における整備が完了した」と説明。非常時の端末の持ち帰り学習について、約64%の学校が準備済みである一方、約36%の学校が実施準備をしていない、もしくは準備中であることや、ネットワーク環境が原因で十分な接続速度を確保できないとか、ネットワーク環境の事前評価の実施予定がない、といった最近の調査結果を挙げながら、「改善を検討していく課題も多く見つかっている」との現状認識を示した。

 こうした現状を受け、1人1台端末の整備に続き、学校現場を実践的に支援するために「省内のGIGA StuDX推進チームによる教育指導面での支援活動を強化するなど、積極的な利活用の促進に取り組むともに、(端末の持ち帰りなど)運用面の支援のさらなる強化にも取り組んでいきたい」と表明。来年度予算の概算要求で、全国の自治体が民間事業者を活用した広域的な「GIGAスクール運営支援センター」を構築し、ヘルプデスクの開設や、ネットワーク環境のアセスメント、応急対応などの支援を組織的に行う体制作りを行う経費を計上したことも説明した。

 文科省の組織再編では、9月17日の閣議で、初中局の情報教育・外国語教育課を廃止し、同局内に新たに「修学支援・教材課」を設置する政令案が閣議決定されている。

 この狙いについて、萩生田文科相は「児童生徒1人1台端末の実現など学校における情報環境が飛躍的に進展している中で、教育課程、指導方法、教科書など、学校教育に関する制度や運用全般について、これまでにない変化をもたらしている」と指摘。「学校におけるICTの活用については、情報教育を担当する課のみに閉じるものではなく、初等中等教育局を挙げて取り組む必要があるという考えから、情報教育・外国語教育課を発展的に解消することにした」と説明した。

 修学支援・教材課を新設する狙いについては「端末などの情報環境整備に関する事務と通信費の支援や、将来的なBYOD(Bring Your Own Device、家庭で所有する端末を活用する方式)を見据えた場合に密接な関係を持つ就学支援に関する事務を一体的に行う」と述べた。

 萩生田文科相は、GIGAスクール構想の進展状況について、「正式スタートから約半年で、自治体ごと、あるいは自治体内でも学校によって、利用方法などにまだらな点があることは現段階では認めなければならない。要は、ミニマムスタンダードをどこまで上げていくか、ということが大事だと思う。今年は『急げ急げ』と言うことが、かえって次なるトラブルを生むと思うので、この1年はまず、上手に利用していただくことをしっかり進めていきたい。その中で先進的な取り組みがどんどん出てくるから、そういったものを横展開して、できるだけ国全体の利活用のスタンダードを高めていくことが極めて必要だと思う」と総括した。

 さらに、家庭への端末持ち帰り学習の前提となる通信環境について、萩生田文科相は「通信環境は地域格差があることは否めない。これは文科省だけでは解決できない。総務省やデジタル庁を含めて、インフラの整備をしてもらわなければならない。日本国内には、ルーターを貸し出せばそれで解決するという簡単なものではない地域も数多くある」と、問題意識を披露。現在進行中の自民党総裁選で各候補者が教育問題を取り上げていることに触れながら、「デジタル化社会を目指し、最も大切な子供たちの学び環境を整えるのであれば、通信網の整備、その利用の対価をどうするかを考えなければならない。義務教育期間の子供たちが使う通信に関しては、次(の政権)に期待しながら、環境を整えていきたいと思う」と述べた。

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