生徒が主語の通信制高校の在り方議論 文科省有識者会議

 通信制高校を巡る環境が大きく変わる中、実態に応じた教育方法や学習支援体制の在り方などを検討する文科省の有識者会議が発足し、初会合が9月28日、開かれた。急増する広域通信制高校の生徒の多くが不登校経験を持つなど生徒が多様化する中、各委員からは実態に合わせて生徒一人一人に寄り添い、生徒が主語となる通信制高校の実現を目指すべきなどとの意見が挙がった。

オンラインで開かれた通信制高校の在り方を検討する有識者会議

 新設された有識者会議の名称は、「『令和の日本型学校教育』の実現に向けた通信制高校の在り方に関する調査研究協力者会議」。大学教授や定時制・通信制高校の校長、若者支援団体の代表など12人がメンバーで、荒瀬克己・教職員支援機構理事長が座長に選ばれた。

 初会合では、はじめに文科省の担当者が、通信制高校を巡る課題や有識者会議に求める論点について説明した。この中では、通信制課程は勤労青少年を前提として導入されたが、急増する広域通信制高校の生徒の3分の2が不登校経験を有するなど、生徒の実態が変容していることや、広域通信制高校が面接指導や添削指導などのサポートのために設置する「サテライト施設」が、所轄庁の都道府県を超えて全国に多数設置されている実態などを報告。その上で、生徒たちへの学習支援体制や広域通信制高校・サテライト施設に対する設置認可基準と所轄庁の在り方などについて検討を求めた。

 これに対して各委員がそれぞれ専門的な見地から意見を述べ、森田裕介委員(早稲田大学人間科学学術院教授)は「通信制にはさまざまなバックグラウンドを持った生徒がおり、自学自習が難しい生徒もいる。むしろ全日制のように手厚くフォローできるよう、通信制・全日制が融合した制度を認めるような実験的なチャレンジも必要ではないか」と提案した。

 通信制高校の運営にあたる原口瑞委員(神奈川県立横浜修悠館高等学校長)は「今でも通信制高校では自学自習という言葉が生きているが、実態としては厳しく、組織的な学習のサポート体制は必要だ。コロナ禍でのオンライン対応も全日制ではできても通信制では厳しい面があり、この場でしっかり検討したい」と述べた。

 時乗洋昭委員(山手学院中・高等学校長)は「通信制に関わる中で、全日制・定時制・通信制の壁を取り払って運営しようという県立高校づくりに携わったことがあった。入口は違うが中は一緒にということで、現状は理念通りに進まない面もあったと思うが、こうした壁を取り払った教育についても議論できればと思う」と語った。

 荒瀬座長は「1月の中教審答申でも、生徒一人一人を主語にした学校ということがうたわれている。ただ卒業させるだけでなく、生徒一人一人が力をつけて自分の道を開いていけるような通信制の高校教育をいかに実現するか、議論を進めていきたい」と締めくくった。

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