教育予算「引いてはならない政策は引くな」 文科相会見

 萩生田光一文科相は9月28日の閣議後会見で、教育予算について、GIGAスクール構想や小学校全学年の35人学級の実現などを例示しながら、「文科省は伝統的に穏やかな役所で、他省庁との争いを好まない風土があった。この2年間、未来の子供たちのために絶対引いてはならない政策は引くな、と常に申し上げ、いくつかの政策に結び付いたと思う。大切なのは国民の世論がついてきてくれることだ」と述べ、重要政策の実現に向けて文科省が確固とした姿勢をとり、社会に対して説得力を持つことが予算獲得のために重要だとの見解を示した。こうした教育政策を支える財源については「イノベーションによって新しい産業を興し、新しい税収を作っていくことを通じて、予算確保に取り組んでいくべきだ」との考えを説明した。

教育予算について説明する萩生田文科相

 新政権の発足が来週初めに迫る中、教育予算の確保について、2年余りの大臣経験を踏まえた所見を質問された萩生田文科相は、「経済が厳しくなると、常に人への投資がちゅうちょされる、という歴史が繰り返されてきた。コロナ禍で同じような轍(てつ)を踏んではいけないので、『こういうときこそ、子供たちへの投資が極めて重要である』と声をからして主張してきた」と言明。この2年間で新たに予算を確保した教育政策の内容として、▽幼児教育・保育無償化の開始▽私立高校授業料の実質無償化の開始▽高等教育の修学支援新制度の開始▽GIGAスクール構想の実現など学校ICT環境整備▽小学校全学年を35人学級とする少人数学級の計画的な整備に係る予算の確保▽博士後期課程学生への経済的支援の抜本的強化――を挙げた。

 こうした新たな政策に必要な予算を確保できた背景について、「やればできる。文科省は伝統的に穏やかな役所で、あまり他省庁との争いを好まない風土があったと思う。私は、この2年間、未来の子供たちのために絶対引いてはならない政策は引くな、と常に申し上げ、職員の皆さんも同じ思いで仕事をしてきていただいた。その結果が、いくつかの政策に結び付いた、と思っている」と説明。

 「このトレンドを続け、『令和になってから、文科省は使いづらい役所になった』と言ってもらえるぐらいになってほしい。大切なのは、国民の世論がついてきてくれることだと思う。そこは説得力なので、そういったことを省内で磨き合ってほしい」と続けた。

 さらに、予算確保だけでなく、文科省職員の人事についても言及。「(文科省職員は)2000人しかいない。それなのに200人も出向している。他の省庁と比べたら、ものすごい比率で本省から人が出ていっている。内閣官房や内閣府で新しい政策を作るときには、人集めがすごく大変。私も官邸にいたから分かるが、弱いところに人を出せ、という風土がなくはない。『あそこだったら、言えば人を出す』と思われてしまっているところも、文科省の弱さだったのではないかと思う」と、率直に指摘した。

 これについては「政府全体でやるべきことはしっかりやっていくし、必要な人の出向や派遣は惜しみなくやるべきだと思うが、文科省の職員が行かなくてもいいところまで、頭数や人数で人を出すような、安易な出向を見直すべきだ。私はいなくなっても、頑張っていただきたい」と、職員にエールを送った。

 こうした教育政策を支える財源について、増税か予算配分の見直しかと重ねて質問を受け、萩生田文科相は「(増税か予算配分の見直しか)その二つに一つしかないのではなく、私は三つ目の道があると思っている。それはまさしくイノベーションで、新しい産業を興していく。新しい税収を作っていくことだ」と応じた。

 その具体的なイメージについて、「今はICTの世の中になったが、この元々の基礎研究は、まさに文科省もずっとやってきたこと。総務省や経産省とも連携しながら今の世の中は作ったが、お金を使うだけではなくて、お金を生み出すことも、人を通じて、科学技術の研究を通じて、行ってきた。ややもすると、バランスシートでは、使ったお金だけが目立ってしまって、そのことによって生み出したお金がどれだけあるのか、なかなか評価されない。スポーツにしても文化にしても、本気になっていいスポーツやいい文化を見せることで、お金を稼ぐこともできる」と説明。

 「だから、今ある予算の取り合いだけに終始するのではなく、文部科学行政は新たな財源を生み出すこと、その種を持っていることに自信を持ち、第三の道も自らも作って、予算確保に取り組んでいくべきではないかと思っている」と、持論を展開した。

特集