「地方こそ、教育の最前線」 文科相、首長に取り組み求める

 岸田文雄政権の発足準備が進む中、萩生田光一文科相は10月1日の閣議後会見で、2年1カ月の任期を振り返った上で、「義務教育の最高責任者は文部科学大臣だと思っているが、仕組み上はかなりの部分が地方教育行政に移管されている。地方こそ、教育の最前線で子どもたちに責任を持っていることを、コロナ禍を通じてお互いに再認識したと思う」と指摘。今後の教育政策の課題について「義務教育は国と地方で連携してやらなければならない。全国の首長の皆さんも同じ思いでこの教育行政に携わっていただいたら、日本中、少し良くなるのではないか」と述べ、自治体の首長に教育に対する関心を高めるよう求めた。

2年1カ月の任期を振り返る萩生田文科相

 萩生田文科相は、任期中に印象に残ったものとして、まず教育分野で、新型コロナウイルス対策と学校教育の両立を挙げた。「感染症対策と子どもたちの学びの保障の両立のための取り組みを進めた。また、文化やスポーツの部活動の成果を発表する機会が失われていく中、代替大会の開催支援に取り組んだ。思いを共有して取り組んでいただいた関係者のご努力に感謝したい」と述べた。

 GIGAスクール構想による学校のICT環境整備については「2023年度までとしていた計画を大幅に前倒しして、公立小中学校においては1人1台端末の環境整備をほぼ実現することができた」と胸を張った。「今後は教育指導面や運用面の支援の強化を一層進める必要があると考えている」と続けた。

 教職員の働き方改革と少人数学級の推進についても言及。「一昨年の臨時国会では、学校における働き方改革推進のため給特法を改正させていただいた。また本年の通常国会では、義務標準法を改正し、約40年ぶりとなる公立小学校の学級編制の標準を引き下げることができた。今後も新しい時代の学びの環境整備や学校の働き方改革を進めていくことが重要と考えている」と話した。

 さらに、教育の無償化や負担軽減については「大きな進展があったと思っている」と、自負をみせた。「幼児教育・保育の無償化、私立高校授業料の実質無償化、高等教育の修学支援新制度がそれぞれスタートをした。さらには、新型コロナウイルスの影響により修学の継続が困難になっている学生を支援するための、緊急パッケージをまとめさせていただいた」と説明した。

 大学入試では「大学入学共通テストにおける記述式問題の出題や英語民間試験の活用を定めた方針の廃止を決断した。受験生やその保護者をはじめとする関係者の皆さんには大変ご迷惑をお掛けすることになったが、今後は大学入試のあり方に関する検討会議の提言を踏まえ、改めて高大接続改革を進めてほしいと考えている」と述べた。

 こうした振り返りに続き、政治家として今後、教育政策にどのように関わっていきたいかと問われた萩生田文科相は「資源に乏しいわが国は、世界と伍(ご)していくためにやはり、人や科学技術で勝負していく以外ないと思う。そういう意味で、私は教育行政というのは極めて重要だと思っている」と話した上で、コロナ禍への対応や1人1台端末の整備などで問題が表面化した、国と地方の連携を今後の課題として取り上げた。

 「義務教育の最高責任者が誰かと聞かれたら、文部科学大臣だと私は思ってはいるけれども、仕組み上はかなり大きな部分が地方教育行政に移管されている。(文科省が)何か決めきれないことがあると、『地方に丸投げか』と言われるが、丸投げをしているのではない。地方こそ、教育の最前線で子どもたちに責任を持っていることを、コロナ禍を通じて改めてお互いに再認識したと思う」「義務教育は、どこに生まれても、どこに住んでいても、同じレベルの教育が受けられる。こういった義務教育の小学校・中学校の教育内容をしっかり担保していく、またレベルを上げていくことを、国と地方で連携してやらなければならない」と、問題意識を説明。

 さらに「全国の首長の皆さんも同じ思いで教育行政に携わっていただいたら、日本中、少し良くなるのではないかと思っている」と述べ、自治体の首長が学校教育に対する関心を高め、人材の配置や予算の確保などに指導力を発揮することに期待を表明。国と地方の連携強化に向けて、政治家として取り組んでいく考えを示した。

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