地域企業と協働し課題解決型学習「シブヤ科」 東京・千駄谷小

 地域の企業と連携し、「本物の学び」を展開する——。東京都渋谷区の小中学校では今年度から、区のビジョンである「ちがいをちからに変える街」を実現していくために、同区の街における社会課題をテーマに、子どもたちが自分で解決法を考えていく課題解決型学習「シブヤ科」がスタートしている。同区立千駄谷小学校(加納一好校長、児童343人)では、昨年度から研究指定校として先行して「シブヤ科」に取り組んでおり、今年度も各学年で企業や近隣施設と連携したさまざまな取り組みを行っている。

ジラフの渡邉さんにデザインについて相談する児童たち

 先月30日には、3年2組でネクタイ専門店ジラフと連携した「シブヤ科」が行われた。同学級では2学期から「千駄ヶ谷のまちを元気にするには?」をテーマに、それぞれがやってみたいことに合わせて6つのチームをつくり、ジラフのネクタイ布地の端きれを使った商品や、オリジナルデザインなどを考えてきた。前回までの授業では、そうしたアイデアをチームごとにパワーポイントで資料にまとめ、ジラフの渡邉幸雪さんにプレゼンした。

 この日は、渡邉さんがプレゼンの結果を子どもたちに伝えることからスタート。朝から結果を気にして緊張していた児童らだが、渡邉さんから「社内会議の上、全6チームの提案が通りました」と伝えられると、「本当に⁉︎」「やったー!!」と喜びの声が上がった。

 例えば、ネクタイ型のエコバックと給食袋を作りたいというチームには、渡邉さんから「商品部からすぐにサンプルを作ってみるとの返事がありました」と伝えられ、大喜び。自分たちのアイデアに手応えを感じていた。渡邉さんはチームの子どもたちに、「商品化された時の商品説明文を考えてほしい」とリクエスト。子どもたちはジラフのネクタイに使われるシルクの布地の特徴について渡邉さんに詳しく話を聞いたりしながら、「エコバックに使うシルクの布地は、静電気が起きづらいのでおすすめです」といった商品説明文を考え出していた。

端切れ布地で缶バッチを作り、ガチャガチャで販売するチームは販売方法を考えていた

 他にもチラシを作るチームは、国語で学んだポスターの作り方なども参考に、ジラフを知らない人に「世界に1本しかないネクタイ」「地球にやさしい取り組み」などの特徴をどのように伝えるかを考えたり、「手書き風にした方が、あたたかさが出るかな?」などとアイデアを出し合ったりしながら、構想を固めていった。また、ネクタイのデザインをするチームは、同校の図工教諭にもアドバイスをもらうことに。それぞれが思いつくデザイン案をネクタイ型の紙に書き込み、図工教諭に見せるためのサンプル作りを行った。

 担任の橋本靖子主任教諭は、活動の途中に、改めてテーマである「千駄ヶ谷のまちを元気にするには?」を掘り下げて考えるように呼び掛け、「つまり、誰を元気にしたいのかな?」と子どもたちに問い掛けた。すると子どもたちからは、「千駄ヶ谷に住んでいるサラリーマン」「住んでいる家族」「子どもたち」と意見が出た。その上で、橋本主任教諭は「自分たちが欲しいものではなく、今挙げたような人たちを元気にするものを意識してつくっていきましょう」と話した。

 ジラフにはこれまで同校の児童が社会科見学に訪れるなどの関係があったものの、ともに商品を考えていく試みは初めてだと言い、渡邉さんは「子どもたちから、自分たちが気付いていなかったことに対しての鋭い質問がきて驚いている。共により良いものを作っていけたら」と力を込めた。

 同学級では今後、千駄ヶ谷ならではの売り方についてリサーチしたり、実際にお店で売るための工夫を考えたりするなど、情報収集や分析を重ねながら、12月に予定されている校内のシブヤ科の全体発表で、体育館にブースを設置し、売り場を再現した形で発表する予定だ。

 橋本主任教諭は「地域企業との協働を通じて、子どもたちが地域参画することで、社会で生きて働く力を育んでいきたい」と意気込みを述べた。

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