不登校のきっかけは「先生」など多岐 文科省が調査報告

 不登校の児童生徒に対する新たな支援策を検討する文科省の有識者会議が発足し、初会合が10月6日、開かれた。この中で文科省が不登校を経験した児童生徒を対象に実施した調査結果が報告され、「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」(複数回答)は、小学校では「先生のこと」(29.7%)が最多となったのをはじめ、「身体の不調」(26.5%)や「生活リズムの乱れ」(25.7%)など多岐にわたることが示された。委員からは「不登校の原因や求められる支援内容が一本調子でなく、多様な支援方法から個々の児童生徒に的確にマッチングしていることが必要だ」などという声が挙がった。

 新たに発足したのは、「不登校に関する調査研究協力者会議」(座長・野田正人立命館大学大学院人間科学研究科特任教授)。小中学校の不登校の児童生徒が過去最多の18万人(2019年度)に上る中、新たな支援方策を検討するため、大学教授や精神科医、学校長、フリースクール関係者など17人の委員が選ばれた。

オンラインで開かれた不登校に関する有識者会議

 会議では、文科省が昨年12月、2019年度に不登校を経験した児童生徒(小学6年生と中学2年生)とその保護者を対象に行った調査結果が報告された。同調査には児童生徒2016人、保護者2128人が回答。調査結果によると、「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」(複数回答)は、「先生のこと(先生と合わない、怖かった、体罰があったなど)」が小学校で29.7%、中学校で27.5%となったのをはじめ、「身体の不調」(小学校26.5%、中学校32.6%)、「生活リズムの変化」(小学校25.7%、中学校25.5%)、「友達のこと」(小学校25.2%、中学校25.5%)など多岐にわたることが分かった。

 また、「最初のきっかけとは別の学校に行きづらくなる理由」(複数回答)については、「勉強が分からない」が小学校31.4%、中学校41.8%と最多で、「生活リズムの乱れ」(小学校27.0%、中学校34.9%)、「先生のこと」(小学校27.0%、中学校25.3%)などとなった。

 一方、「相談しやすい方法」(複数回答)については、「直接会って話す」が小学校48.5%、中学校45.9%と、いずれも最多だったが、「メール・SNS」を選んだ児童生徒も小学校28.6%、中学校41.5%に上った。両方を選択した割合は1割未満といい、相談しやすい手段が二極化する結果となった。

 「学校に戻りやすいと思う対応」(複数回答)については、「特になし」が小中学校とも50%以上に上ったが、「友達からの声掛け」(小学校17.1%、中学校20.7%)や「個別で勉強を教えてもらえること」(小学校10.7%、13.4%)、「家族からの声掛け」(小学校8.3%、中学校7.5%)などと、学習の支援や友達からの支援を望む回答も見られた。

 こうした結果も踏まえて会合では各委員が自由に意見を述べ、伊藤美奈子委員(奈良女子大学研究院生活環境科学系教授)は「これまでの調査では不登校の原因は『家庭の問題』が多かったが、身体の不調や生活リズムの乱れなどが随分多いと気付かされた。支援ニーズで『特になし』が半数以上いるのをどう解釈すべきか。子供たちが何を望んでいるかをもう少し見た上で、新たな支援を考えたい」と述べた。

 江川和弥委員(NPO法人フリースクール全国ネットワーク代表理事)は「不登校が減らないのと同時に10代の自殺も減っておらず、不登校は命の問題として考えるべき。またコロナ禍で、不登校であるとともに経済的困難を抱える家庭も増えており、そうした層への支援も考えないといけない」と強調した。

 野田座長は「アンケートの回答者はごく一部なので、この結果を不登校全体には当てはめられないが、各項目を見ると回答にばらつきがあり、不登校対応はこれをやればいいという一本調子でないことが伺える。多様な方法を選び出しながら的確にマッチングしていく必要がある」と述べた。

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