幼保小連携「小学校は忙しくて進まない」 中教審特別委


 幼児教育と小学校の接続を議論する中教審の幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会は10月7日、第4回会合をオンラインで開き、オブザーバー参加している幼稚園や保育所、小学校などの関係団体からのヒアリングを行った。幼保小の連携強化を歓迎する意見が相次ぎ、学校種を超えた教員や保育士による実地研修の実施を求める意見が出た。幼稚園や保育所側からは子供の主体性を尊重した幼児教育を小学校につなげる必要を訴える発言が続いた一方、小学校側からは「コロナ禍や新学習指導要領でやらなければいけないことが増えており、幼児教育との連携が進むかは微妙だ」との実態が報告された。

「幼保小の架け橋プログラム」を議論した中教審特別委

 幼稚園や保育所の関係団体からは、子供の主体性を重視した幼児教育の意義を説明する発言が相次いだ。全日本私立幼稚園連合会の安達譲・ひじり学園理事長は「幼児教育は一人一人の良さや可能性を見いだすもので、小学校教育の準備ではないことをまず確認したい」と切り出した。サッカーの日本代表選手や、ボランティアの医師として東京五輪に関わった卒園生を紹介しながら、「この子たちは幼児期にはこだわりが強かった。やりたいことに挑戦していく姿は、小学校ではなく、幼児期に育ったものだと思う」と述べ、一人一人の子供が持つ興味や関心に寄り添うことが重要だと強調した。

 全国保育協議会の伊藤唯道・順正寺こども園園長は、子供主体の保育として、自分たちで広島駅を舞台とする遠足の計画を組み立て、友達の意見を聞きながらグループで行動し、持たせたスマホで写真を撮って保護者に報告した事例を説明。「5歳児になっていきなりこうした活動をさせるのではなく、0歳からの学びの積み重ねが大切。『子供だからできない』といった思い込みを捨て、子供を一人の人間として尊重しなければならない」と述べ、こうした就学前教育について小学校教員や保護者の理解を促進することが必要だと指摘した。

 これに対し、小学校側からは、全国連合小学校長会(全連小)の大字弘一郎・東京都世田谷区立下北沢小学校統括校長が、5歳児が年間20回ぐらい小学校を訪問し、教室に座ったり、給食を食べたりして小学校での学びを体験する長野県のオープンスクールや、幼稚園・保育所・小学校の教員らがお互いの施設を訪問する合同研修といった、幼保小連携の事例を紹介。コロナ禍によって、こうした連携の動きが止まっている、とも報告した。その上で、「学校種を超えた交流を求める声は大きいが、実態は進んでいない。新学習指導要領の実施によって小学校でやらなければならないことが増えており、幼児教育との連携に使える時間が足りない。オープンスクールの動きも、今後広がるかは微妙だ」と実情を訴えた。

 委員の意見交換では、幼保小が連携した教員研修の充実を求める意見が相次いだ。「学校種を超えた実地研修は、個別の園や学校の単位では難しい。教育委員会などの行政組織の協力が不可欠」(宮下友美恵・静岡豊田幼稚園長)、「園内研修を充実させるためには、中堅教員といったミドルリーダーがキーパーソンになる。こうした人材を育てることが大切」(神長美津子・大阪総合保育大特任教授)、「教職員支援機構に、小学校教員が幼児教育を学ぶ研修プログラムを作ってほしい。幼児教育との架け橋となる研修を小学校教員に必須としたい」(鈴木みゆき・國學院大教授)といった指摘が出た。

 子供が生まれた0歳から初等中等教育を終える18歳までの連続した教育プログラムを考える中で、幼児教育と小学校教育の接続を考える必要性を指摘する声も出た。溝上慎一・桐蔭学園理事長は「五輪選手が幼児期には扱いにくい子供だったという指摘は非常に興味深い。こうした教育の成果は、幼小の段階だけでは分からない。18歳までつながる中で考えることができればいい」と述べた。

 幼保小連携の意義や狙いについて、お互いの理解がまだまだ足らないという見方もあった。秋田喜代美・学習院大教授は「小学校の教員にとって、幼稚園や保育所との関係は極めて低いとの指摘があった。学校管理職や教育委員会の指導主事に、幼保小連携のメリットをもっと理解してもらう必要がある」と、小学校教員に幼児教育に対する理解を促す重要性を語った。

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