「生徒第一の環境整備を」 部活動の地域移行へ検討会議

 学校の働き方改革や子供たちにふさわしいスポーツ環境の整備に向けて、運動部の部活動の地域移行を進めるための課題を検討する文科省の有識者会議が発足し、初会合が10月7日、開かれた。部活動の地域移行を巡っては、指導者の確保を含めた受け皿整備や財源確保、経済的事情のある生徒への支援などさまざまな課題があり、委員からは「働き方改革より子供を第一にスポーツ環境の整備を考えるべきだ」などと、子供たちを中心に据えた議論を求める意見が相次いだ。同会議は、来年7月に最終提言をまとめる方針。

オンラインも併用して開かれた部活動の地域移行に関する検討会議

 新たに発足したのは、「運動部活動の地域移行に関する検討会議」(座長・友添秀則日本学校体育研究連合会会長)。学校現場や各競技団体、民間のスポーツ関連団体など幅広い組織から20人がメンバーに選ばれた。文科省は昨年9月、学校の働き方改革の第一歩として、2023年度から休日の部活動の段階的な地域移行を進める方針を示しており、課題を検討する場として設置された。

 会議では、はじめに文科省の担当者が検討事項について説明し、▽中学生にとってふさわしいスポーツ環境とは▽地域の受け皿となる組織・団体の整備の進め方▽指導者の確保・育成▽大会の主催者や参加資格などの在り方▽適正な会費の保障や経済的に困窮する家庭への支援方策――など10項目を挙げて検討を求めた。

 これを踏まえて、各委員が所属する団体の立場などから議論するべき課題や意見を述べた。齊藤正富委員(全日本中学校長会給与対策部会部長)は「検討事項に加えて、保護者との信頼関係が非常に重要になってくると思う。地域移行については伝えているが、スポーツがどうなるか、子供の環境がどうなるかという保護者の不安が払しょくされていない。さらに指導者の確保で報酬が必要になる場合の財源の問題もあり、こうした点も議論したい」と述べた。

 末冨芳委員(日大文理学部教育学科教授)は「現行の就学援助制度は部活動には十分機能しておらず、運動を楽しみたくてもシューズが買えない、遠征費が出ないなどで、生徒が諦めている状況がある。それと地域移行をどう両立させるか。現行のスキームで補助できるのか、違う枠組みを考えるべきか、一緒に考えたい」と語った。

 地域移行の受け皿として期待される総合型地域スポーツクラブを代表する立場から、渡邊優子委員(総合型地域スポーツクラブ全国協議会副幹事長)は「目的の一番に『働き方改革』があるが、子供のため、子供第一ということをもっと表に出すべきだ。生徒の多様なニーズに対応するための改革であると丁寧に保護者に説明し、理解してもらうことが必要だと思う」と強調した。

 保護者を代表する立場からは、佐藤博之委員(日本PTA全国協議会副会長)が「保護者の生の声を集めてきたが、経済的な問題からスポーツ少年団に入れず、部活動もできないとチャンスを逃している子もいるのではないかと心配する声があった。私たちの最終的な望みは、子供が本当にやりたいスポーツができる環境をつくってほしいことであり、ぜひ子供たちのチャンスをつぶさないようにしてほしい」と訴えた。

 さらに障害のある子供たちへのスポーツ指導に取り組んできた内田匡輔委員(東海大学体育学部体育学科教授)は「今回の議論から障害のある子供たちが漏れることがないようにしてほしい。特別支援学校に通う子供たちはスクールバスで遠隔地から通う子も多く、土日に遊ぶ子供がいないという事情もある。さまざまなニーズがあることも踏まえて、スポーツ環境の場づくりを考えてほしい」と求めた。

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