支援困難な家庭への対応 生徒指導提要の見直しで議論

 文科省の「生徒指導提要の改訂に関する協力者会議」の下に設置された、「多様な背景を持つ児童生徒への生徒指導に関するワーキンググループ(WG)」は10月8日、第2回会合を開き、生徒指導上で留意すべき児童生徒の家庭的背景について議論した。とりわけ支援・連携が困難な家庭のケースや、児童虐待・放任など法的な配慮が必要なケースについて、提要にどのような内容を盛り込むべきかがテーマとなった。

 同WGでは生徒指導提要の見直しに向けた議論の一環として、多様な背景を持つ児童生徒への生徒指導の在り方や、提要見直しの方向性を検討する。今回の会合では藤田絵理子委員(和歌山大教育学部附属三校教育相談コーディネーター)から、現行の生徒指導提要に、保護者との良好な関係を築くことの重要性や、児童虐待が児童生徒に深刻な傷として受け継がれることなど、家庭・保護者対応に関する多くの記述があることが指摘された。

 野田正人主査(立命館大特任教授)は今回の見直しでも、保護者との良好な協力体制、子供の生活の基盤としての家庭、困難を抱える児童生徒の保護者との連携(有効な支援の提供、家庭訪問、支援・連携の困難な場合の対応)といった項目が考えられるとした。

オンラインで行われた第2回会合

 さらに、児童虐待や要保護児童など法的な配慮が必要な場合について、奥村理加委員(八王子児童相談所児童福祉相談専門課長)は、保護者が虐待・放任などをしているなどの「要保護児童」、保護者が養育に支援を必要としているなどの「要支援児童」のために自治体が設置する「要保護児童対策地域協議会(要対協)」の機能について紹介。

 要対協は学校、福祉事務所、医師会、警察、児童相談所、民間企業やNPOなどの多機関で構成され、守秘義務が課せられる一方で、保護・支援に必要な個人情報の共有が可能となる組織で、早期発見、迅速な支援開始、役割分担といった利点があることを示した。

 同時に、奥村委員は「連携という言葉が多く出てくるが、言葉だけが一人歩きしがち。何を、どのように連携するのかまで踏み込まないと、さまざまな場面での共有や相互理解ができない」として、提要での具体的な記述を求めた。

 これに対し野田主査は「(現在の)学校管理職がかつて生徒指導担当として頑張っていた頃は、『何かあったらとにかく児童相談所だ』と言われていた時代。その後、むしろ市町村が先で、児童相談所が高度な専門性をもってバックアップするという構造に変わっているが、そのあたりが十分に学校には伝わっていない」と指摘した。

 また「要対協は学校が中心となるわけではないが、学校が支援の中心となるケースは非常に多い。要対協という傘のもとならば個人情報のことを気にせず、多機関連携の情報共有が可能になる。例えば保育所に通うきょうだいの情報も小学校に引き受けてもらい、情報のハブになってもらうこともある」と、学校の役割を説明した。

 こうした家庭との連携に関する提要での記述について、岡田俊委員(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所知的・発達障害研究部部長)は「家庭対応は学校の先生一人一人の力量が出やすく、心理的にも揺さぶられる、非常に難しい対応。それを支える校内の連携が大切で、誰がどのような役割をして情報共有をしていくのかを強調してほしい」と、多機関連携と並び校内連携の在り方についても、具体的に盛り込むことを求めた。

 また、小野憲・国立教育政策研究所総括研究官は「非行傾向のある子供、発達に課題がある子供だと、学校ではそうした様子が見えるが、家庭では見えず、いくら保護者に伝えても認識にずれがあることが多々ある。支援・連携の困難なケースについて、(提要に)例を挙げて盛り込んでいけるとよい」と指摘した。

あなたへのお薦め

 
特集